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日本最古の大学、足利学校

2009.09.23

 久しぶりに足利学校を訪れた。

 

 日本最古の学校として知られ、創建は奈良時代とも平安時代とも言われる。

 天文19(1550)年にはフランシスコ・ザビエルが「日本国中最も大にして、最も有名な板東の大学」で「学徒三千」と評した。

 つくづく思うのは、昔の日本の教育は素晴らしかったということ。足利学校ではテキストとして使われていた「かなろんご」の復刻版が販売されているが、「論語」の簡略版である。たしかに、ひらがなで書かれているが、内容は立派に「論語」である。おそるべき江戸時代の子どもたち!

 田口佳史氏によれば、江戸時代、全国にあった藩校ではそれぞれの講師が自分で論語を編集していたという。自分で編んだテキストで自分流に教えることができたのだ。今のようにねじ曲げられた歴史教科書で強制的に教えられることもない。

 

 地域での教育も凄かった。通常、3歳くらいから早朝1時間、夕方1時間ほど、父母や近所の人たちの前で漢籍を素読したという。意味がわからなくても師が読む通りにまねをして声に出す。やがて、言葉の響きやリズムが体に刻みこまれ、成長した後、その言葉のほんとうの意味を知るや、言葉が俄然輝き始めるという。

 その他に、道徳・修身教育も熱心に行われた。

 そうそう、江戸時代の藩校で面白いと思ったのは、生徒たちが全員同じ方向を向くのではなく、めいめいが自分が向きたい方を向き、自分の学力に合ったペースで学んでいたということ。学校へ行く時間も学校を去る時間も個人の事情によってバラバラ。なぜなら、家庭によっては家事の手伝いなどをしなければいけなかったから。江戸時代は窮屈だったという先入観があるが、じつは案外自由だったのではないだろうか。

 足利学校のパンフレットに、鎌倉建長寺の住持の言葉が載っている。

 「足利の学校には諸國から学徒が集まり学問に励み、それに感化されて、野山に働く人々も漢詩を口ずさみつつ仕事にいそしみ、足利はまことに風雅な一都会である」

 学びを中心に社会がなりたっている様子が描かれている。

 田口佳史先生の講義に参加させていただいてはっきりとわかったことがある。学びこそ、人間にとって最も楽しいことのひとつである、と。

(090923 第118回 写真は足利学校の方丈と庫裡)

 

 

 

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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