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地元の人たちが守る歴史の点景

2017.12.07

 タクシーの運転手に聞いて、初めて知った。

 通称「異人館」。正式には「旧鹿児島紡績所技術館」。前回紹介した仙巌園のすぐ近くにある。世界遺産に認定されているが、知名度は低く、見物人もほとんどいなかった。

 明治初頭、紡績工場を稼働させるために英国から技師を招いた。彼らのために用意した宿舎がこの異人館である。

 当時、情報漏えいを恐れ、英国人が外のトイレに行くにも見張りがついたという。それほど貴重な「知識」を持っている人を遇するための最高級の宿舎だったのだ。報酬も桁違いに多かったはずだ。

 今でもじゅうぶん立派な建物である。明治初頭、苦心惨憺して外国の技術を導入した日本人の「本気度」が伝わってくる。

 

 見物人がいなかったため、地元の案内ボランティアを独占できた。やはり、限られた時間で効率よく「学ぶ」には、案内ボランティアに聞くのが最適だ。

 ボランティアの方々はいずれも高齢者ばかりだが、郷土の宝物を案内できることに誇りをもっているようだ。説明を繰り返すうち、トークもこなれてくるだろう。

 外国人観光客が急増する現在、案内ボランティアの活躍の場は広がっていくだろう。英語も習得するといい。老境に入って家に閉じこもるのではなく、新たなジャンルにチャレンジする。それは気持ちの張り、健康維持、やりがいにもつながっていくにちがいない。

 鹿児島市には歴史の点景が数多く残っている。地元の人たちが守ったのだろう。そういう街は素敵だ。

 

 付近を歩いているとき、面白いものを発見した。右がそれ。なんとこれ、スターバックスなのだ。新たに造ったのではなく、すでにあった建物を有効活用しているのだろう。最小限に抑えられた看板が白い壁に映えていた。

 スターバックスのコーヒーを飲みたいとは露ほども思わないが、こういう取り組みは素晴らしい。他の地域でも積極的にやってもらいたい。

 

※悩めるニンゲンたちに、名ネコ・うーにゃん先生が禅の手ほどきをする「うーにゃん先生流マインドフルネス」、連載中。

https://qiwacocoro.xsrv.jp/archives/category/%E9%80%A3%E8%BC%89/zengo

(171207 第772回 写真上は異人館。下はその近くにあるスターバックス)

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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