多樂スパイス

ADVERTISING

紺碧の将

美しき結び目

2017.10.31

 どうやら私は飲んべえと思われているようだ。たしかに、年365日、毎晩欠かさず酒を飲んでいる。わが家のエンゲル係数は比較的高いと思うが、食費に占める酒代もかなり高いだろう。なにしろ、妻も365日飲むし、今、同居していない娘も同じだ。そんなわけで、日本酒とウイスキーは常備している。

 だからなのか、しばしば日本酒の贈り物がある。

 過日、送ってもらった時は、妙に感動した。包装紙を解くと、写真のような風呂敷包みが入っていたのだ。

 その結び目にいたく感じ入り、思わず撮影した。

 日本には古来、多様な結び方がある。ロープを縛るなどの実用的なそれではなく、美しく見せるため、心を込めるための結び方である。

 くだんの結び、解くのも容易ではなかった。まして、同じように結んでみろと言われたら、降参する以外ない。

 それにしても、合理性とは真逆をいく、こういう文化。先人たちのセンスに、あらためて感心する。

 世はなんでもかんでも合理性、効率性。でもなあ、バランスを欠いたら、スカスカの味気ない生活になってしまう。合理的な発想がないのも問題だが、効率一辺倒になってしまうのも問題。両者のバランスをはかるには、リベラルアーツを学ぶことと、心に余裕を持つことなのだと思っている。

(171031 第763回)

ADVERTISING

Recommend

記事一覧へ
Recommend Contents
このページのトップへ