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〝花の妖精〟塚本こなみさんの作品

2016.11.02

%e8%8d%89%e8%8a%b1 前回に続き、浜松ネタを。

 「はままつフラワーパーク」という、いかにもお役所が命名しましたというつまらない名前の施設がある。そこへ行った。草花が好きだということもあるが、以前『Japanist』の巻頭対談で登場していただいた日本初の女性樹木医・塚本こなみさんがプロデュースしている植物園だからである。
 塚本こなみさんといえば「あしかがフラワーパーク」の大フジの移植に成功し、今や多くの入場者を集める人気スポットにした立役者でもある。
 じつは、あまり期待もせずに向かった。あまりにつまらない名前だったので、「まあ、適当に草花を植えてお茶を濁しました」的な施設なんだろうと勝手に想像していたのだ。こなみさんが関わっているにもかかわらず……。それほどネーミングというのは重要だということ。
 しかし、その先入観はみごとにはずれた。さすが、こなみさん! と思わず声をあげてしまったほど。
 高低差のある広い敷地内にさまざまな草花が植えられているのは当然として、どこもかしこも手入れが行き届き、観る者を飽きさせない工夫がなされている。正直、これまでに観た植物園で最高ではないかと思う。
 やっぱりこなみさんは植物の化身だったのだ。でなければ、あんな芸当はできない。
 園内を散策している時、もしやこなみさんに会えないだろうかと思っていたら、来ました来ました、先方からスクーターに乗って走ってくる〝花の妖精〟の姿が。聞けば、昨年、20年以上関わったあしかがフラワーパークを退任されたとのこと。「もう私がいなくても大丈夫だから」と言っていた。そのかわり、海外からの要請が多くなり、多忙な日々を過ごしているという。
%e6%b5%9c%e6%9d%be%e5%b8%82%e5%8b%95%e7%89%a9%e5%9c%92 もうひとつ、予想に反して素晴らしかったのが、隣接している「浜松市動物園」。こちらもあまりに名前がダサくて期待をしていなかった。動物の種類もけっして多くはない。しかし、自然の森を生かしたグランドデザインは観る者を飽きさせない。森の中を散策しながらいろいろな動物を観ているという感じ。爬虫類がいないのも私にとっては好都合だった。
 二つの施設でゆうに5時間を超えた。また行きたいと思っている。
 夕方、バスで浜松駅へ向かっている時だった。ふと、窓の外を見ると、なにげない片側1車線の道路があり、なんとその中央に大きなケヤキが1本だけ立っていた。センターラインが木の周りだけ婉曲に描かれている。もともとそこにあった木を伐採せずに、生かしたのは明々白々だ。
 ふつうは危険だとのことで伐採されてしまうだろう。それほど広い車線ではないので車に接触する可能性があるという理屈はいくらでも成り立つ。しかし、あえてそれをせず、あの1本の木を守っているところに浜松市民の感性を見た思いがする。強烈に印象に残った一コマだ。
(161102 第676回 写真上ははままつフラワーパーク。下は浜松市動物園の一風景)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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