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なぜトリカブトは猛毒をもっているのか

2016.08.17

トリカブト 前回、甲斐駒ケ岳に登ったことを書いたが、山小屋の前に奇妙な植物があった。紫色で妖しい形をしている。聞けば、トリカブトだという。

 以前、世間を震撼させる事件があった。3人の女性と結婚し、保険をかけては殺すという猟奇事件の犯人が用いたのは、なんとトリカブトだった。
 トリカブトは全身毒だらけらしい。特に猛毒を含んでいるのが根っこだ。毒の正体はアコニチンと呼ばれるもので、致死量はわずか0.2〜1mg。しかも即効性があり、量によっては数分で絶命するという。
 どうしてトリカブトに猛毒があるのか、不思議でならない。自然界は無駄なことはいっさいしない。これは鉄則だ。であれば、なぜトリカブトは猛毒を持つに至ったのか、これが知りたい。
 毒は薬にもなる。実際、トリカブトを用いた薬もあるという。放射能は危険だが、微量であればプラスの作用を及ぼすこともある。ストレスだって過ぎたるはまずいが、ほどほどであれば生命力の活性化を促す。
 トリカブトはキンポウゲ科の植物だが、その科の特徴は美しく、そして毒を持っていることだという。そういえば、美人で怖い人は案外少なくない。
 「毒にも薬にもならない」という言葉がある。もし、私が面と向かってそう言われたら、そうとうショックだと思う。ということは、自分自身、毒か薬になっていると思いたいのだ。
 さて、なぜトリカブトは猛毒を持っているのか、という話だった。最大の狙いは天敵である動物を殺すことだろう。植物の中には苦い成分を出すことで、「わたしを食べてもおいしくありませんよ〜」というメッセージを発するケースが多いが、トリカブトはかなり過激である。おそらく、防御策であると同時に、生態系のバランスを保つための役割も果たしているにちがいない。
雲の起る時

 自然がなすことは人智を越えている。山に登っていてもわかる。かたときも休むことなく、自然は緻密な営みを繰り返しているのだ。たとえば、正面は雲ひとつない空が広がっていても、90度回れ右をするともくもくとガスが湧き上がっていることがある(写真右)。「坐看雲起時(坐して看る雲の起こるとき)」という禅語があるが、自然界の営みを注意深く見ていると、地球全体、いや宇宙全体が映画館のように思える。そして、そういう映画館は日常のいたるところにあるのだ。それらを味わうか否かはもちろん本人しだいである。
(160817 第658回 写真上はトリカブトの花。下は甲斐駒ヶ岳近辺の山)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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