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紺碧の将

もだえ苦しむスマホ中毒者、地獄の味噌蔵

2015.10.24

 どこもかしこも熱心にスマホに見入っている人ばかりだ。駅の雑踏などでぶつかりそうな場面がたびたびあり、思わず怒鳴りつけたくなる。ぐっとこらえるが、精神衛生上、甚だしくよくない。スマホに見入りながら自転車や車を運転している人もいる。電車に乗ると、前に座っている人7人全員がスマホを見ていることも珍しくない。一様に俯いている光景は異様である。背筋に冷たいものが走る。

 ある統計によると、一日3時間、スマホをいじっている人がたくさんいる。3時間ということは一ヶ月で90時間。1年で1080時間。3年で3240時間!
 仮にその時間を他のことに充てるとしよう。例えば、①学び ②遊び ③仕事 に3分の1ずつ充てるとすると、それぞれ1080時間確保できる。
 さて、3年後の成果はどうなっているだろう。スマホを毎日3時間やっていた人と、上記のようなことに時間を費やした人の差はべらぼうに大きくなっているにちがいない。
 先日、新聞の人生相談にこういうものがあった。
 ──SNSを見ていると、人と自分を比べて落ち込んでしまう。どうすればいいでしょうか?
 つまり、フェイスブックなどを見ていると、みんな楽しそうなのに、自分はつまらない毎日だ。知り合いの、どこへ行ったとか何を食べたとか誰と会ったかという情報に接し、わが身と比べて暗澹たる気分になっているのだろう。
 傍から見れば、アドバイスは簡単だ。SNSと縁を切ればいいだけのこと。ところが、それができないからこそ、人生相談なのだろう。だとすると、それは立派な中毒患者、依存症である。
 私はなにも、スマホがすべて悪いとは言っていない。使い方によっては非常に便利なツールだ。実際、私も持っているし、時々使うことがある。ふだん、パソコンに向かう時間が多いため、なるべくスマホは見ないようにしているが、通話とメール、ラインくらいは使っている。しかし、あてもなく、ひたすらSNSをやるとかゲームをするなどということはしない。
 スマホに限らず、なんでもそうだが、機器類はあくまでも道具だ。その道具に人間様が振り回されてどうする? と言いたい。いったい、主人公はどっちなんだ? と。
 数ヶ月前、フェイスブックのアカウントを取り消し、スッキリした。それまで、フェイスブックのシステムにはさんざん土足で踏みにじられていたから。やれ、今日は○○の誕生日ですとか、○○に「いいね!」を押してくださいとか、最近フェイスブックを開いていませんねとか……。その都度、「大きなお世話だ!」とつぶやくが、相手は自動で配信されてくるメール。手応えはまったくない。これはいっそのこと辞めるに限ると思い、実行した。
 「おまえだって、こうやってブログを書いているだろ? 同じだよ」「おまえのブログを読むためにスマホを使うこともあるんだ」と言う人もいるかもしれない。
 たしかにそうだろう。だからこそ、○○を食べたとか、○○ナウとか、○○に会ったなどというただの自慢メッセージのブログにはしたくないと思う。少しは自分なりの見識を込めた内容にしようと。
 特にフェイスブックでひどかったのは、政治的なテーマでの垂れ流し的・排泄行為的な書き込みだ。これは保守系も左翼系もウンザリだった。中身はまるでなく、ただの欲求不満解消のための垂れ流し。同じ考え方の人間が集まって、第三者を罵る。少しでも毛色の異なる意見が出ると、みんなで集中攻撃する。なんともおぞましい世界だ。そういうものを読むために貴重な時間を費やし、あげく嫌な気分になるのでは「踏んだり蹴ったり」ではないか。
 もっと早く辞めておけばよかったと思う。
 SNSに疑問を抱いている人は、今すぐにでも辞めた方がいい。スマホにこき使われる人生とオサラバする潮時だ。
 個人がなにをしようと自由であることに変わりはないが、国家単位で見ると、一億総スマホ中毒化はたいへんな損失でもあると思う。
(151024 第589回)

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