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紺碧の将

暴走族のような人びと

2015.09.06

 安保法案に反対している過激な人たちについて書いた後、気持ちを入れ替えて山形へ行った。月山に登るためだ。残念ながら悪天候のため、登頂は叶わなかったが、羽黒山五重塔など、この世のものとは思えないほど美しい光景を瞼に焼き付けて帰ってくることができた。

 心が洗われたと思ったのも束の間、また醜い光景を間近に見てしまった。
 修理に出していた腕時計が直ったとの連絡があって伊勢丹新宿店に行ったのがそもそもの間違いだった。伊勢丹に面した道路で安保反対集会が行われていたのだ。歩行者天国となっている道路をほぼ占拠している。若者向けの音楽を大音量で流し、何が楽しいのか青い風船をたくさん掲げている。じつに幼稚な光景だった。
 安倍総理を口汚く罵るプラカードやポスターを持って、なにやらわめいている人が大勢いた。戦争反対、一人も殺すな、徴兵制は嫌だと叫ぶが、代案はなにも示さない。前回も書いたが、とにかく中身もわからず、反対運動をしているのだ。
 ふと、何十台も連ねて音をあげながら示威行動をする暴走族を思い出した。それと同じだ。とにかく目立てばいいとばかり、人の迷惑も顧みず排泄行為を続けている。
 近くで警戒していた警視庁の人に訊いた。
「あれは合法なんですか」
「合法ではないのですが、かと言って、はっきり違法とも言えないんです」
「でも、一般公道を占拠して通行人を妨げていますよね」
「そうなんです。われわれもなんとかして阻止したいのですが、後ろ盾になる法律がないんです。あれば、あんなことは許さないんですが」
 そんな会話を交わした。
 ほんとうにこの日本は自由の国だ。あれだけ社会の迷惑になる行為をしても許されるのだから。
 60年安保の時も、先頭をきって反対運動をしていた奴ほど、ロックアウトが解除されると、なにごともなかったかのように大学に戻り、なにごともなかったように大企業の戦士になったり官僚になった。
 『ノルウェイの森』で、主人公ワタナベノボルはそういう連中を見て、こう思う。
 ──こういう奴らがきちんと大学の単位をとって社会に出て、せっせと下劣な社会を作るんだ。
 まったくその通りだ。
 見ると、団塊の世代とおぼしき人がたくさんいた。その頃の自分が懐かしいのか、反政府闘争に熱中しているのが嬉しいのか、哀しいほど頑張っている。世の中のことなどまったくわからない純粋無垢な若者もたくさんいた。おそらく、オジサンたちにかどわかされて参加しているのだろう。
 ああ、一日も早く法案を通してほしいものだ。
 でも、彼らはまた新たな反対のターゲットを見つけて大騒ぎするんだろうけど……。
(150906 第577回)

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