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紺碧の将

弾ける、若い書家たち

2014.08.30

僕らの書展メンバー 20代の若者たちによる「僕らの書展2014」が8月31日(明日)まで池袋駅西口の東京芸術劇場5Fギャラリーで開催されている。
 20代の書家(男性7名、女性2名)は2度の合宿を行い、この書展に臨んだ。
 リーダーの佐藤達也君(右上写真、前列左から2番目)は学校教師だが、仕事が終わってからのほとんどを書に費やしているという。
「書をやっているときが楽しくて仕方ないなんです」と、楽しそうに語る。
 本来、書を含めた創作活動は個人で取り組むものだ。しかし、同志が集い、同じ頂きに向かって努力を重ねるというのも清々しい。東京美術学校を放逐されて五浦へ都落ちした岡倉天心一派も、同じような清冽さがあった。
会場 会場は清浄な空気に満ちていた。日展をはじめ、「権威」による書展にはなにかしら手垢のついたものが感じられが、そういう臭いがないところがいい。日本人の長所と短所はウラオモテの関係にあるが、特に伝統芸能や伝統文化に甚だしいと私は思っている。
 どういうことか?
 実力を反映していない上下関係が硬直化していることが多いのだ。そういうものは正直、見ていて辟易する。「○○先生のもとでまじめに作品を出し続ければ2回に1回は入選する」などとまことしやかに言われている。そういえば、日展問題も記憶に新しい。あんなものは氷山の一角なのだろう。
 以前、友人が三味線を習い始めたときもそうだった。月謝とは別に、師匠に対する強制的な「上納金」が多いのだ。やれ、○○のお祝いだ、やれ、○○の記念にといった具合に、ことあるごとにお金をまきあげられる。クラシックの世界ではほとんど聞かない。あんまり本道にはずれたことをしていると、仲間うちの傷の舐め合いになってしまうよ〜、と助言しておきたい。
 話がそれてしまった。「僕らの書展2014」のことだった。
はじめとさか 作品はじつに多彩だ。天井(3.6メートル)ぎりぎりまで使って書いた大作やアクリル絵の具を墨に混ぜて洋紙に書いたもの(右写真の左作品『さか』がそれ)など、若者らしいチャレンジも忘れていない。勢いあまって紙が破れているものもある。
 この書展にかかった労力と時間、そして費用はけっして少なくないと思うが、そういう「愚直な挑戦」がさまざまなものを生む。思えば、私も20代前半のときに作った同人誌が今につながっている。後から振り返ると、さまざまな点と点はきちんとつながっているものだ。スティーヴ・ジョブズが言ったように。
(140830 第520回 写真上は図録に掲載されているメンバーの写真。下2枚は会場風景)

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