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紺碧の将

「健康リテラシー」って何だ?

2013.11.10

ローソン この夏、ローソンは社員の健康診断の受診率100%を目指し、受診しない社員とその上司の賞与をカットすると発表した。

 それを報じた『日経ビジネス』誌では、「健康リテラシー向上のために、素晴らしい取り組み」だと評している。

 しかし、私はどうも腑に落ちない。おそらく、というか、まぎれもなく、今回の措置は社員の健康増進を目的としているのだろう。社員が健康であれば、業績アップにつながるという意識もあるにちがいない。

 それはそれで、正しいと思う。

 しかし、方法があまりにも末梢的だ。

 健康診断をいくらやったところで、健康になるわけではない。せいぜい、手遅れになる病気を発見できる程度で、それすらも全体からみればごくごくわずかだろう。大半は、要らぬ心配をしたり、再検査を強要されたり、あるいは必要のない被爆をしたりとデメリットの方がはるかに多いと私は思っている。

 そもそも、人はそれぞれ条件が異なるのに、同じ基準をあてはめ、健康かそうでないかを判断するなど、滑稽以外のなにものでもない。その人の体質、例えば、陰性体質か陽性体質か、筋肉体質か脂肪体質か、肉体労働に従事しているか事務職か、どういう気候の地域に住んでいるかなどによって、「適正レベル」の範囲は異なるはずだ。人間はロボットじゃないのだから。何度も書くが、健康診断を受けさせれば社員が健康になるという考えは、まったく末梢的だ。

 そもそも、社員を健康にさせたいのであれば、本質的なことをしなければいけない。つまり、日々の食生活や生活スタイルを見直すことである。それを抜きにして、いくら健康診断をやったところで、健康になんかなるはずがない。私は医療の専門家ではないが、それくらいのことはわかる。

 今、日本で売られている食品のほとんどは化学添加物だらけだ。添加物が入っていない食品だけをずっと食べ続けるのは不可能といっていい。

 ただし、それはある意味、仕方がないと思う。人口が増えすぎ、これだけ多くの「口」を養うには、かなり「不自然なこと」をしなければいけないのは明々白々だ。

 さらに、私は人間にはある程度の対応力があると思っている。少しくらい悪いものでも、人間は適応できるはずだ。

 しかし、それも程度問題だろう。

 例えば、コンビニ経営をしている人の食生活はどうなっているのか。今は消費期限云々がうるさいので、ちょっとでも期限を過ぎれば廃棄処分せざるをえない。それはもったいないということで、コンビニ経営者の家庭の食卓は店で扱っている弁当ばかりだと聞いたことがある。コンビニの経営者は社員ではないので、関心の外かもしれない。しかし、そういう実態を放置しておいて、社員が健康診断を受けなかったら賞与カットだという方針は、明らかに本末転倒ではないだろうか。

 例えば、化学添加物の少ない商品だけを扱う新業態をつくるというのなら、話はわかある。単価が高くなっても、それを買いたいという人は多いだろう。新しい生活スタイルの提案にもつながる。

 私はよく成城石井を利用するが、その理由は、口に入れる物は少しでも信用できる店から買いたいからだ。もしかすると、中には偽装された物があるかもしれないが、食べればある程度はいいか悪いかわかる。だから、ふだん、コンビニの弁当は食べない。

 コンビニでもその気になれば健康に特化した店舗をつくることは不可能ではないと思うし、そういうことに挑戦してほしいと思う。「便利」と「体にいい」を両立させることはできるはずだ。

 ついでに書けば、私は国民皆保険制度は良くないと思っている。あれが医療費38兆年の元凶だと。仕方なく保険料を納めているが、できれば払いたくないというのが本音だ。

 そう書くと、弱者いじめだと言う人が必ず現れる。

 弱者か強者ではなく、健康に意識が高いか低いかだけの話ではないか。収入が低い人が、どうしても治せない病気に罹ってしまった場合のセーフティネットは整備する必要はあるだろうが、本人の不摂生を国民皆保険で補うのは本末転倒だ。

(131110 第465回)

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