日本人がたどってきた道を探る
上野の国立科学博物館で「古代DNA 日本人のきた道」展が開催されている。古代人の遺骨からゲノムを解析し、日本人がどのように進化をしてきたかを探る試みだ。
展示の冒頭、目からウロコの記述に遇した。
――DNAと遺伝子、ゲノムの関係を1冊の本に例えると、「文字」にあたるのがDNA、「文章」にあたるのが遺伝子、そして「本」に相当するのがゲノムになる。
これでずいぶんスッキリした。いままで、その3つの言葉を混同して使っていたからだ。
ホモ・サピエンスが日本列島にやってきたのは、約4万年前。約1万6000年前から縄文時代が始まり、弥生時代〜古墳時代へと続く。
DNAの解析技術が進むとともに、古代人の生活様式や社会の様相も明らかになってきた。どんなものを食べていたのか、何歳頃大怪我を負ったのか、何歳で死んだのか、どんな儀式があったのか……がわかってしまう。古代人からすれば、数万年後に自分たちのプライバシーが覗かれるとは思ってもいなかっただろう。まったく迷惑な話にちがいない。
同じ日本人でも、海岸部に住んでいた人と内陸部に住んでいた人とでは顔の骨格が異なる。食べ物や気候は容姿に影響するのだ。そう考えると、いくつかある〝美人の産地〟もあながち眉唾だとは思えない。
原点を探る旅はワクワクがいっぱいだ。
白保竿根田原洞穴遺跡出土4号人骨
海岸部の縄文人の人骨
クマ形土製品
サル形土製品
エジプトのネコのミイラ
(250614 第1275回)
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