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紺碧の将

PASSAGE SOLIDA

2024.03.10

 フランス文学者鹿島茂氏がプロデュースしている「PASSAGE」(パサージュ)という本の貸棚店のことは知っていた。〝世界一の本の街〟神田神保町のすずらん通りにあり、数百という棚は空きがないうということも。

 では、どんな空間なんだろうと2月のある日、近辺を逍遥していたら、なんと「PASSAGE」の新しい店舗をつくっているところに出くわした。内覧も可ということで中に入り、話を聞くと、3月1日のオープンに向けて準備中だという。渡りに船とはこういうことをいうのだろう。さっそく検討し、一棚借りることにした。

 新しい店は「PASSAGE SOLIDA」と命名されている。SOLIDAとは連帯・団結を意味する。それぞれの棚主が連帯するという意図か。

 棚にはそれぞれ縦一列にパリにある通りの名がついている。私が借りた棚は、スーラ小路2番地。スーラ小路とは画家の名を冠した通り。上から順番に1番地〜となっている。

 棚の借り主は? と思って見ると、著名な作家や小さな出版社、あるいは本好きのマニア(らしき)など雑多。全国各地にある個人書店は青息吐息の状態だが、貸棚スタイルの書店は今後ますます増えていくと思う。もちろん、本好きが集まるエリアでなければ成立しないが。そういう意味でも、地域の特性を生かした新手の商法だといえる。この店は神保町界隈の新たな名所になる可能性がある。

 3月にオープンし、店を訪れたら幸運なことに鹿島氏本人がいて、ちょっと立ち話をする機会を得た。

 この店で本がバンバン売れることはないだろうが、本を媒介にした出会いはあるかもしれない。1年くらいは続けてみたい。

 

開店前、準備中

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開店後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンパス・ポイントが借りた棚

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(240310 第1213回)

 

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