多樂スパイス

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紺碧の将

生き物と精肉

2022.03.14

 あるところで、名古屋コーチンの姿を間近で見た。

 はからずも、ちょっとした意識のギャップを感じた。というのは、名古屋コーチンといえば、精肉になって調理された状態でしか見たことがなかったからだ。そうか、これがあの肉の元の姿なのか、と思った。いまどきの子供は、魚は切り身のまま泳いでいると思い込んでいるという話を笑えない。

 その数日後、新橋界隈を歩いているときだった。精肉店の軒先に、全身の毛をすべて剥ぎ取られた鶏の姿を見た。木の箱に数体が折り重なり、白目を剥いていた。そうか、鶏はこうやって「処分」され、解体され調理されて食卓に並ぶのだな、と。

 なんともすごいことだ。生き物を殺し、食べるということは。

 通常の鶏の飼育は、1羽あたりA4サイズほどのスペースでまかなうという。大量に飼育され、食肉となり、まだ賞味期限があるのに余ったら捨てる。なんて人間は非道な行いを続けているのか。

 最近、ようやくフードロスのことが語られるようになった。

 人間が雑食であるのはしかたがない。しかし、生き物の命を粗末にすることは許されるものではない。

 ウクライナ情勢によって、さまざまな食材が値上がりしているという。

「食材」を見直す好機ととらえている。

(220314 第1119回)

 

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