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紺碧の将

『本物の真髄』、電子版で復刊

2021.11.15

 拙著『本物の真髄』を電子版で復刊した。

 もとはといえば、2011年、ある料理学校の依頼で刊行した本であるが、すべて売り切れ、手元に見本として2冊を残すのみとなった。増刷は叶わず、手前味噌ながらこの本を永久に消滅させたままでいいのかと思っていた。

 ある日、「そうだ、電子版にしよう」と思い立ち、版元と西原金蔵氏に承諾を得て、電子版で復刊した。

 西原さんとの交誼は、拙著『魂の伝承 アラン・シャペルの弟子たち』で取材して以来、ずっと続いている。その間、『fooga』と『Japanist』でも記事を掲載し、本書での取材も含めれば、じつに多くの取材機会をいただいた。一人の人間にこれほど何度も(しつこく?)取材した例は他にない。よほど私は西原さんと相性がいいのだろう。

 本職のパティシエとしてのスキルは言わずもがな。かのアラン・シャペルをしてパートナーと言わしめた男である。岸田首相は〝春風接人〟をモットーにしているようだが、西原さんこそ、その言葉が似合う。いつもたおやかなな笑みを浮かべ、会う人をやさしく包み込む。仕事のときの厳しさとのバランスがいい。

 彼はかねてから、65歳の誕生日に「オ・グルニエ・ドール」を閉めると公言していた。息子さんも同業で事業をしているのだから譲ればいいと思うが、「買い取ってくれるのなら」と言って笑う。それ以上に、毎日列をつくるファンの期待に応えないのはどうかとも思うが、それも含め、すべて西原さんの思惑ひとつである。

 そして、有限実行。2018年5月、公言していた通り、あっさりと繁盛店を閉めてしまった。

 しかし、密かに打ち明けてくれていた通り、なんの予告もせず、彼は京都に小さな店をオープンした。土日限定でひっそり営業している「コンフィズリー エスパス・キンゾー」である。

 世間が彼を放おっておくはずがなく、こちらも大盛況。初秋に聞いたところによると、年内の生産が間に合わにそうだ。

 なにをやっても難しい時代だが、なにをやっても成功する人がいる。彼は取材のとき、幾度も「こんなに人生うまくいっていいのかといつも思っている。いつか大きな落とし穴があるんじゃないか」と。しかし、ついぞ落とし穴は現れていない。否、現れるはずもない。その要諦もこの本にしっかり書いたつもりである。

ご注文は、こちら   『本物の真髄』

(211115 第1102回)

 

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