Keep your friends close, but your enemies closer.
映画『ゴッドファーザー PART2』より
友だちは近くに、そして敵はもっと近くに置いておけ。
父親から聞いた話として、アル・パチーノ扮するマイケル・コルレオーネがそう語る。
「孫子」から引いた言葉だが、日々命のやりとりをしている人ならではなお処世術。
なぜ、敵を身近に?
ひとつには、つねに危機意識を持続させたるため。周りが友人ばかりでは、知らず平和ボケしてしまう。
もうひとつは、敵を近くで泳がせておいて、敵の動向を探るため。
なるほど、遠くにいては敵の動きはつかめない。孫子ならではの思考法である。
現代で教訓にするとすれば、身近なところに卑劣な人間がいてもおかしくはないという意識を持つということだろう。近年、動機のわからない殺人事件が増えているが、だれもが「まさか自分の身の周りにはいない」と思い込んでいる。それが悲劇の第一歩だ。
我が家では、不審人物を撃退できるよう、クマ除けスプレーを備えている。登山のときに携行し、その威力に驚いた。
(第143回 250914)
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