クマは怖いけれど
知床・羅臼岳でのクマによる襲撃事件は悲惨だった。脚に噛みつかれて連れ去られ、息を引き取るまでの間、どれほどの苦しみがあっただろう。おそらく激痛のなかでも、自分の体がクマに食べられていることを感じていたはずだ。自分がその人だったらと考えると身が震えるようだ。
そんな事件があった直後だったから、逡巡する気持ちもあったが、予定通り竜ヶ岳に登った。竜ヶ岳は静岡県と山梨県の県境にあり、富士山の眺望で知られている。急遽、クマ撃退スプレーを購入し、それを携えて登った。
羅臼岳の事件が影響してか、すれ違った人は全部で10人ほど。猛暑とはいえ、絶好の登山日和にもかかわらず、閑散としていた。幸い、クマにも遭遇せず、満喫できた。ただ、富士山には雲がかかり、全容を見ることは叶わなかった。やはりこの季節は空気が澄んでいない。
中腹から見た富士山。頂上部がわずかに顔を出している
頂上。クマザサがたくさん繁っている
裾野の樹海が広い
下山の後、忍野八海へ。外国人も含め、観光客の多さにびっくり。賑わうのはいいことだが、途中で人に「アテられた」感がある
「山中湖文学の森」へ。ここには三島由紀夫文学館と徳富蘇峰記念館がある。今回は三島由紀夫文学館を再訪
帰りはお決まりの「白糸の滝」へ。20数年ぶりだったが、土産物店などが立ち並び、かなり観光地化していた
クマ撃退スプレー。トウガラシが入っていて、すごい威力。防犯にも使えそうだ
(250824 第1285回)
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