多樂スパイス
HOME > Chinoma > ブログ【多樂スパイス】 > その土地ならではの食文化

ADVERTISING

私たちについて
紺碧の将

その土地ならではの食文化

2025.07.20

 なにが楽しいって、知らないところへ行ってその土地の歴史に触れたり、その土地ならではの食を味わったり、芸術を堪能したり、風景の妙を味わったりするにまさるものはない。すべてコト消費である。

 今年の5月、丹沢山系の大山に登ったことは本ブログでも書いたが、その帰り道、こま参道で私の目を惹きつける物があった。味噌である。「これは旨そうだ!」と直感が走り、赤味噌と白味噌を1袋ずつ買い求めた(写真)。

 店の人に聞けば、昔から手作りをしている人が近在にいるとのこと。この味噌だけをまとめ買いするためにリュックを背負って来る人もいるという。「大山うるわし本舗」というのは販売店の名前で、味噌蔵の名はついていない。「天然醸造 丹澤糀みそ」とラベルにあるが、ネットで検索しても出てこない。宣伝をしなければならないほどの量は作っていないのだろう。

 調理に使う前、まずひと匙すくって食べた。瞬間、舌から脳へ心地いい波が伝わった。ほんとうに旨い! 本物だ。化学添加物の味がまったくしない(当然だが)。これならご飯の上に盛ってもいけるし、スティック野菜に塗ってバクバク食べられる。

 日本の食文化といえば、ご飯と味噌汁などの大豆製品、そして山の幸・海の幸。栄養的にもほぼ完璧だ。日本人に受け継がれているDNAは、そういう食べ物によってスイッチが入る。

 かつての日米貿易交渉で、日本は大豆をほとんど作らなくなった。かえすがえすも残念でならない。取り返しのつかない道を選んでしまった。その上、コメまで輸入するようになったら、この国の食文化は危機的状況に陥るだろう。食の安全保障においても同様。ますますアメリカに隷属しなければならなくなる。

(250720 第1280回)

 

髙久多樂の新刊『紺碧の将』発売中

https://www.compass-point.jp/book/konpeki.html

 

本サイトの髙久の連載記事

◆音楽を食べて大きくなった

◆海の向こうのイケてる言葉

◆死ぬまでに読むべき300冊の本

◆ちからのある言葉 

◆偉大な日本人列伝 

【記事一覧に戻る】

ADVERTISING

メンターとしての中国古典(電子書籍)

Recommend Contents

このページのトップへ