死ぬまでに読むべき300冊の本
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紺碧の将

植物は創造主の化身である

file.041『植物の神秘生活』ピーター・トムプキンズ+クリストファー・バード 新井昭庸訳 工作舎

 

「植物人間」という忌まわしい言葉がある。そうなってしまった人はもちろんのこと、植物をも愚弄する言葉だ。

 かねがね、植物は尊敬されるべきだと思っている。地球と直接つながっている生き物は植物だけ。人間もそのほかのあらゆる動物も、地球の上には住んでいるものの、つながってはいない。植物は大地に根を下ろし、光合成というとんでもない秘技を使ってあらゆる生物に必要なエネルギーを創り出している。まさに、創造主の化身である。物言わぬだけに、その真価がわかりにくいということだけだ。

 本書を読めば、植物の能力がいかにわれわれの想像を超えているかわかる。たとえば、アメリカスギは90メートル以上も樹液を吸い上げる。人間が設計した最良の汲み上げポンプでさえその10分の1以下の高さしか吸い上げられないことを思えば、その能力は桁外れと言う以外ない。

 植物は圧倒的な危険や損傷をともなう威嚇を受けると、「死んだふり」をするか深い失神状態に陥ることも証明されているし、友だちから引き離されて孤独になるとショックでやせ衰えたり、死ぬこともあるという。

 また、ある人の実験では、130km離れた別荘で恋人と過ごしていたとき、彼の植物たちは性的快楽に反応して音声発振器に非常に高いピークをいくつも示し、オルガスムスの瞬間には針は最高目盛りを越えてしまったという。

 植物に記憶力があるかどうかという実験では、みごとに植物の記憶力を証明してくれた。一人の男に1本のゼラニウムを数日間続けて虐めてもらう。次にもう一人の男がそのゼラニウムをやさしく世話し、水をやったり、土を耕したり、スプレーで新鮮な水をかけてやったり、重い枝に支えをしてやったり、火傷や傷の治療をする。植物に流れる微量の電流を計測する器械をその植物につないだあと、植物を虐めた男が近づくや、器械の記録計は狂乱し始め、替わってやさしくしてくれた男が近づくと、記録計は滑らかになった。植物にウイスキーを何杯か与えると酔っ払い、酒場の飲んだくれのように身を揺らし、やがては回復してもはっきりした二日酔いの様子を示すという実験結果もあった。もちろん、有名なクリーヴ・バクスターによる実験(『植物は気づいている』クリーヴ・バクスター 穂積由利子訳 日本教文社 に詳しい)のことも詳しく載っている。

 なぜ、植物たちに途方もない能力があるのか、ずっと疑問だった。

 この本にヒントが書かれていた。植物の根についての記述である。なんとムラサキウマゴヤシの根は地中12メートルも伸びるという。ライムギの支根は1300万本以上、それらをつなげると全長600kmに及び、支根には微細な根毛が140億本も生えていて、すべてを合わせるとほぼ地球の両極間に相当するというのだ。なにが言いたいかといえば、植物は膨大な数の根を地中に下ろし、地球からさまざまな情報やパワーを得ているのではないかということ。

 ひときわ印象的な記述がある。

「リンゴはなぜ落ちるかをニュートンは説明した。しかし、リンゴがなぜそこまで高く上がったかという、落下現象と相関関係にありながら遙かに難しい問題を説明することは、ニュートンにはまったく思いつきもしなかった」

 そう、われわれはあの重いリンゴがいくつも樹の枝にくっついてぶら下がっているのを当然の風景として見ているが、それを超能力と言わずしてなんと言おうか。

 本書を読めば、身近に存在する植物たちへの意識が変わることまちがいなし。そうなれば、楽しみも増える。一挙両得である。

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