小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています。
イチロー
イチローこと鈴木一朗。
馬鹿親の見栄と自己満足でママゴトのような名前をつけられた不幸な子どもが続出する現代において、イチローの活躍が示唆するものは大きい。
平凡な姓名でありながら、いや平凡な姓名であるがゆえに、かえってその偉業がクローズアップされることになったイチローの存在は、全国の鈴木さんと一朗さんに少なからぬ誇りをもたらしたに違いない。
イチローの凄みは、環境の変化に一切動じないことにある。
日本だろうが大リーグだろうがやることは不変。
素振りとスローイングとストレッチという基礎の基礎を徹底して繰り返す日々。
少年野球のころからの変わらぬ日課が、完全なバットコントロールと選球眼、そして加齢をものともしない類い希な運動能力を彼にもたらした。
誰にでもできる簡単で小さなことの積み重ねが、鈴木一朗を世界に一人しかいない “イチロー” に仕立て上げたのだ。
(130328第68回)