日本人として覚えておきたい ちからのある言葉【格言・名言】
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遊びも度重なれば楽しみならず 珍膳も毎日食らえば甘からず

楠木正成

 皇居前広場にある騎馬姿のブロンズ像でおなじみ、楠木正成の名言である。

 鎌倉幕府の討伐から南北朝時代に入るまでの激動の時代を、後醍醐天皇に寄り添いサポートしつづけた楠木。歴史上屈指の忠臣として、その生き様はさまざまな形で語り継がれてきた。君主に誠心誠意、忠義を尽くした楠木は、「己」という主君にも心を尽くしていたのにちがいない。

 

 あるヨガ講師がこう言っていた。

「楽なのと、心地いいのとは違います。楽な姿勢が習慣になると、最終的に苦しくなります。ほんとうに正しい姿勢というのは、楽ではなく心地いいんです」と。

 

 人はどうかすると、楽な方を選ぼうとする。

 が、楽なことが癖になると、やがて苦しむことになる。

 たとえば病気になったり、怪我をしやすくなったり、あるいは体の不具合が引き金となって、精神が病んでいったりというふうに。

 身体的なことでなくても、人生において楽が苦を招くこともある。

 

 ヨガや瞑想、禅仏教に共通する「体とこころを整える」というものは、「楽」ではなく「心地よさ」を重視する。

 慣れるまではしんどいし、辛いことも多いけれど、しだいに身体は「整える」ことの心地よさを覚えてゆく。

 心地よさが身につくと、心身はほんとうの意味で楽になる。

 力を入れるべきときと、力を抜いたほうがいいとき。

 それが自然にわかり、バランスをとりながら無理なくできるようになってゆく。

 

 やはり楠木の言うとおり。

「遊びも度重なれば楽しみならず 珍膳も毎日食らえば甘からず」

 

「楽」と「心地いい」が違うように、楽は「楽しみ」ともちがうのだ。

 

神谷真理子(本コラム執筆者)公式サイト「ma」

 

●「美しい日本のことば」連載中

 今回は「草紅葉」を紹介。

 童謡『真っ赤な秋』の影響でしょうか。「もみじ」と聞くと、赤く色づいた楓の葉が浮かびます。幼い頃は、これだけが「もみじ」だと思っていましたが、ちがうのですね。続きは……。

(221010 第815回)

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紺碧の将

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