海の向こうのイケてる言葉
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紺碧の将

Tomorrow is another day.

マーガレット・ミッチェル

 マーガレット・ミッチェル唯ひとつの作品にして不朽の名作、『風と共に去りぬ』のラストシーンに出てくる言葉。タラの地に根づいて生きていこうと決意したスカーレット・オハラのもとを、頼りのレット・バトラーが去って行く。なんとかレットを引き戻したいと考えるが、ふと息を抜き、〝Tomorrow is another day〟とつぶやく。映画の字幕では「明日は明日の風が吹く」と訳された。もともとあった言葉を訳者があてがったものなのかは不明だが、けだし名訳と言えよう。
 ミッチェルは当初、この言葉を小説のタイトルとして考えていた。しかし、出版社から Tomorrow のつくタイトルが多いと指摘され、「Gone with the wind」にしたという。
 意味は、明日という日があるのだからくよくよ考えてもしかたがない。成り行きにまかせよう。「ケ・セラ・セラ」(Que sera sera)、「明日は明日の食物を持って来る」(Let the morn come and the meat with it.)、あるいはビートルズの「レット・イット・ビー」(Let it be)など、成り行きにまかせようという意味の言葉はいくつもある。それほど、人類は数え切れないほど追い詰められてきたともいえる。
 難しい事態に直面したとき、重要なのはひと呼吸おくことができるかどうかだろう。時間をおいて、まっさらの状態であらためて難事に向き合うことで、難しいと思っていたことが案外簡単に解決できることがある。
 煮詰まったと思ったら、心のなかで Tomorrow is another day とつぶやき、空白の時間をおいてみよう。
(第3回 200523)

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