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紺碧の将

Get busy living or get busy dying.

映画『ショーシャンクの空に』より

 この言葉、busyをどう訳すかだが、「とことん生きろ、とことん死ね」「生ききるか、死にきるか」と解釈するのが妥当だろう。映画では、自分の無罪を証明してくれる唯一の希望がなくなった後のセリフである。

 

 では、「生ききる」ということは、どういうことなのか。字面通りに考えれば、自分がなすべきものを見つけ、死ぬまでそれをやりきること。

 ただ、ほんとうにそれだけなのかな、とも思う。そういう人は、全体のうち、ほんの一握りしかいない。であれば、世の大多数の人は「生ききる」ことができないということになってしまう。

 私は、「歳を重ねるごとに楽しみが増していく」ことだと考える。その連なりの果てに「死にきる」という境地が待ち受けているのではないか。

 同じ本を読んでも、若い頃に得た感懐とは異なる。同じ道を歩いても、以前と印象が異なる。以前読んだときより深い感動を得る、あるいは新たな発見があるなど、その「ちがい」が良くなっているのであれば、それは「生ききる」道を歩いているといえないだろうか。

 通常、「忙」という字は「心が亡い」と解釈され、否定的に使われることが多いが、英語のbusyは意味合いが異なる。禅でいう「一行三昧」はそれに近いのかもしれない。

 生涯、busyの日々を過ごしたいと思っている。

(第132回 241002)

 

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