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浄蓮の滝と女郎蜘蛛伝説

2019.08.07

 水がつくる音は、人間の心に深く作用する。たとえばせせらぎの音。イライラしている人でさえ、あの音を間近で聞いていたら心が和むにちがいない。たとえば間断なく流れ落ちて水煙をあげながら、轟音をうならせる水瀑。水しぶきが霧状に舞い、光をキラキラと反射する。それを数分間感得するだけで、体の細胞が活性化するだろう。

 

 静岡県伊豆市湯ケ島に、浄蓮の滝がある。25メートル上からまっさかさまに流れ落ちる、いわゆる「直瀑」として知られている。群青色の滝壺も美しい。

 長い階段を降り、浄蓮の滝を間近で見ていると、自然の行いの妙に感心する。だれが差配しているのか、水が途切れないのが不思議だ。

 湯ヶ島といえば文人墨客が逗留した地として知られている。周りを囲むは天城山、石川さゆりの「天城越え」は近辺を舞台にしている。演歌には疎い私だが、ここを舞台に抒情溢れる歌を書きたいと思う心情は理解できる。

 浄蓮の滝には伝説がある。昔、ある木樵(きこり)が鉈(なた)を滝壺に落としてしまい、探しに潜ると美しい女と出会う。女はそのことを絶対だれにも口外するなと念を押すが、木樵はある村人から「滝の下には女郎蜘蛛(ジョロウグモ)の化身が棲んでいる」と教えられ、うっかり女と会ったことを話してしまう。すると木樵は深い眠りについてしまうという話だ。

 昔話には、けっして口外してはならぬという約束を破ったがために罰を受けるという話が多いが、それだけ人間は口が軽いということ、口は災いの元と教示したいのだろう。

 滝壺の近くに土産物店があり、その前に青々としたワサビ田が広がっている。そういえば、近隣にはワサビの看板があちこちで見られる。ワサビが採れるということは水がきれいということ。水をきれいにしているのは、もちろん山。山と水の連関を感じることの地である。

 

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(190807 第922回 写真上は浄蓮の滝。下はワサビ田)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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