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美し人
ココロバエ

力を溜め込む季節

2015.10.12

ラクウショウの気根1 世の中の多くは相対するものの調和で成り立っている。昼と夜、動と静、強と弱、長と短、寒と暖……。自然界の動きを見ると、そういうことがわかる。

 そして、自然の一部である動物も雄と雌(男と女)に分かれている。ごく一部の例外を除き、新しい命の誕生には雄と雌の調和が必要なのだ。そのことが意味するところは深く、重い。
 今の季節はなにをするにも快適だ。私は春生まれだが、どちらかといえば秋の方が好きだ。力を溜め込み始める態勢に入ったという、この感覚が好きなのだ。とはいっても、その他の季節が嫌だという意味ではない。もちろん春も好きだし、みんなに嫌われている夏もいい。以前は冬が苦手だったが、今では悪くないと思っている。つまり、どの季節もそれなりにいいのだ。
 人間には、エネルギーを溜め込む時期と発散する時期がある。長い人生にも当てはまるし、1年ごとにも当てはまる。10月から3月くらいまでの季節は、まさに「溜め込む」時期だろう。この時期に何をするかによって年輪のつき方に相違が生じるのだと思う。無自覚に時を過ごすのと、こういう意識を持って過ごすのとでは、やがて大きな差になって現れると私は思っている。
 少し前に、文科省が人文系の大学を統廃合しようという動きを示し、問題になった。「すぐに結果が出るもの」「目に見えて成果がわかること」に重きを置くという、愚かな発想にほかならないと思う。理科系も大切だが、私はそれ以上に人文系に重きを置くべきだと考えている。なんとなれば、今、リベラルアーツを備えた人間がじつに少なくなっているという印象があるからだ。
ラクウショウの気根2 リベラルアーツは、つかみどころがない。多分野の教養、その相互関連性、時間的連続性、パースペクティブな物事の見方、多角的な物事の見方などを総合的に用いて自分なりの考え方や価値観、見識を高めていくと私は定義しているが、そう言われても、「?」と思うだろう。いったい、成果はいつ出るのか、と。
 そうなのだ。成果などいつ出るかわからない。測定方法もない。となれば、敬遠されるのも仕方はないのか。しかし、だからこそ、学ぶ意義がある。繰り返すが、今、そのような人物は決定的に少ない。ということは、遠からず、そういう人物が社会から求められる時代になってくる(もうなっているか)。
 新宿御苑にラクウショウの気根がある。きわめて珍しいらしいが、要するに、根の一部が地上に出ていて、空気を吸っているのだ。もちろん、地中からも滋養を得ている。つまり、周りのあらゆるものから栄養を貪欲に取り入れているのだ。
 これはまさにリベラルアーツそのものだ。
(151012 第586回 写真はいずれもラクウショウの気根)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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