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ココロバエ
美し人

からくり人形師から〜全身全霊で打ち込むということ

2015.08.30

からくり人形1 生産拠点の多くが海外に移転したとはいえ、やはり日本の経済力の源は「物づくり」だろう。それがベースにあって、その他の業界も栄えている。

 そんなことを改めて認識させられたのが、『Japanst』第26号でもご紹介した「からくり人形」だ。
 からくり人形師・半屋弘蔵さんに神楽サロンで実演会をやっていただいた。からくり人形はどのような来歴があって、どのような仕組みで動くのか、あるいは戦後日本の製造業に与えた影響など、多方面にわたる解説とともに、間近でその軽妙な動きを見ることができた。
 実は、からくり人形は明治になって途絶えてしまったという。明治の指導者から見れば、西洋の先進的な技術と比べていかにも稚拙に映っただろうし、後継を希望する人もなく、文献も消失してしまった。
 ところが、江戸時代の文献が発見されたことにより、からくり人形が復活し、それにともなってからくり人形に魅せられる人がポツポツと現れた。半屋さんもその一人だ。当時、自動車メーカーのエンジニアとして、それなりの地位と収入を得ていたが、「一念発起」というか、いちかばちか断崖からダイビングをして、修業を始めたのだ。もちろん、収入のアテはない。
 家族もよく我慢したと思う。
 結局、半屋さんは志を遂げ、今ではからくり人形の製作をする傍ら、全国を飛び回って、その魅力を子供たちに伝えている。9月の多樂塾でも実演をしていただく予定だ。
からくり人形2 つくづく思う。人の生き方で、もっとも輝いて見えるのは、一見すると無謀なことでも、自分を信じて挑戦し続けることではないか、と。
 先が見えてしまうような生き方はつまらない。どの道、人は老いて、死ぬ。これは万人が避けられない厳粛な宿命だ。であれば、「いかに生きたか」だろう。その大切さをこの「からくりオジサン」は身をもって教えてくれている。
 全身全霊をもって何ごとかに打ち込む……。そういうものを死ぬまでもち続けたいものだ。
(150830 第575回 写真はからくり人形を実演する半屋弘蔵さん)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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