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迷わないマー君

2013.09.27

鋭い目の海 じっくり野球観戦をしたのは何年ぶりだろう。WBCを除けば、いつ以来か覚えていない。

 昨日、東北楽天イーグルスがリーグ優勝した試合をテレビで見た。試合の展開によっては、〝マー君〟こと田中将大投手のピッチングが見られると思ったからだ。

 今年のマー君の活躍は素晴らしい。形容する言葉がなくて、思わず「素晴らしい」と書いてしまったが、それくらい圧倒的だ。

 なのに、テレビ中継がないため、せいぜいダイジェストで見る程度。どんな風にスゴイのか、もっとじっくり見たいと思っていたのだ。

 昨日の試合前、楽天のマジックは2。楽天が勝ち、2位ロッテが敗れれば優勝だが、そういう展開になれば、田中投手をクローザーとして使うと星野監督が公言していた。自身も胴上げ投手になった経験から、粋なはからいをしたかったのだろう。

 はじめは楽天がリードを許し、ロッテがリードしているという展開だった。今夜、田中投手の出番はないなと思った矢先、札幌で行われていた試合でロッテが逆転されたという情報が入ってきた。さらに、楽天が逆転し、9回を迎えたのだった。

 そこで登板したのが、マー君だ。

 内野安打と四球、送りバントで1死2塁、3塁という場面で3番バッターを迎えた。一打逆転サヨナラというピンチだ。しかも、彼自身が更新している連勝記録も途絶える。

 観客をヒヤヒヤさせるのに、わざとそういう舞台を設定したのだろうか。そう思ってしまうくらい、最高の見せ場だった。

 その時、解説者がゲストの与田剛氏に訊いた。

 「今、田中投手にアドバイスするとすれば、どんなことを言いますか」

 与田氏はすかさずこう答えた。

 「迷わないことですね」

 その答えが的確だったのは、すぐにマー君が証明してくれた。なんと、3番バッターを3球三振、4番バッターも5球で連続三振に仕留めたのだ。しかも、8球続けて直球だった。ウィニングショットは153キロの外角低め。バッターのスイングはまったくの腰砕けで、とても勝負になっていなかった。

 それにしても、8球続けて直球というのは、よほど自信があるのだろう。どこでスライダーを投げるのかと思いながら見ていたが、マー君に「配球」は必要なかったようだ。直球に威力があれば、最も効果的な球種は直球だ。それをキャッチャーの嶋もわかっていて、マー君もその要求に応えた。

 それが〝迷わない〟ということなのだろう。

 監督は星野仙一。

 思えば、私は子どもの頃から星野ファンだった。周りはジャイアンツファンばかりだったが、私はドラゴンズファンだった。起業した頃は、地元誌に「コンパス・ポイントは、中日ドラゴンズを応援しています」というキャッチコピーを入れた広告を出していた。明らかにクライアントを刺激する広告。それをやったからといってなんにも意味がない。「だからなんなんだよ!」と言い返されそうだし、場合によっては悪印象をもたれかねない。それでも、そういうバカなことをするのが「若さ」なんだろうね。

 ところで、星野であった。なぜ、好きかといえば、王や長嶋に真っ向から勝負する姿が心に響いたのだ。そこで抑えればカッコイイのだろうが、たいていは打たれ、悔しさのあまりグローブを地面に叩きつけていた。その闘志溢れる姿が少年髙久を魅了した。

 以前であれば、日本シリーズは星野と原という、ある意味、好対照の二人による勝負となったはずだが、今はCSというわけのわからないシステムがあるので、両チームが日本シリーズで顔を合わせるかどうかはわからない。できれば、二人の対決を見たいと思っている。

 余談だが、以前、その筋の専門家と称する人から、「あなたは潜在意識と顕在意識にズレがない、きわめて稀な人の一人です」と言われたことがある。「ふだん、不安とか悩みとか、あまりないでしょう?」と。つまり、本来の自分がやりたかったことと実際にやっていることの間にズレがないということらしい。何を根拠にそう言ったのか、はっきりとは覚えていないが、要するに易学に近いものだったと思う。

 たしかにそうだ。クヨクヨ考えないし、考えていることはいつも楽しいことだ。その人は、こうも言った。「そういうタイプの人は、著名人だと原監督ですね」と。それまで原辰徳にあまり興味をもっていなかったが、それを聞いて以来、ちょっと関心をもっている。

 潜在意識と顕在意識かぁ。ということは、多くの人はズレがあるのだろうか。もし、あったとして、そのズレを矯正するにはどうすればいいのだろうか。

 たいへん不遜なことだが、私はなんとなくわかってきた感じがする。

(130927 第455回 写真上は、テレビで野球観戦中の海)

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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