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美し人
ココロバエ

花の命を木に彫り込む

2013.08.30

須田悦弘氏と 念願叶い、美術家の須田悦弘(すだ・よしひろ)氏を取材した。

 木を素材に彫刻をしているが、本人は美術家を名乗っている。彫刻だけではなく、空間全体を創造する現代美術でもあるからだ。着色は、日本画の岩絵の具を用いているので、日本画家の要素があるとも言えるだろう。

 モチーフは花や雑草のみ。しかも、すべて原寸大だ。原寸大と言えば、以前紹介した画家の野村陽子氏とも重なる。

 なんといっても驚嘆させられるのは、木を彫っているにもかかわらず、きわめてリアルに花の形や色を再現しているということ。あらためて言うまでもないが、自然の花びらや葉は、型にはめてプレスしたような一定の形ではない。その三次曲面は〝神のみぞ知る〟の神業。それらを忠実に再現しているのだから、驚くというか呆れるというか。薄いところは光が透けるというほどの薄さだ。おそらく0.01ミリの世界だろう。

 展示の仕方がまた洒落ている。広い空間の壁にチューリップが一本とか、展示室の片隅に座っている監視役の足下に生えているかのような雑草とか、とにかく「どうだ! この作品を見てくれ!」という通常の作品展示とは真逆のスタイル。

アサガオ 初めて作品を買ってくれたのがドイツ人だったということからもわかるように、海外での評価も高く、個展は世界のあちこち、それこそバングラデシュのような国でも行われている。

 以前、金属を素材にして枯れた花を表現しているモリソン小林氏を紹介したこともあるが、私は植物をモチーフにしている作家が好きだ。植物はつぶさに見れば見るほど、造形も色もあまりに美しく、どうしてこのようなものがこの世にあるのか不思議で仕方がなくなるのだが、その美しさを表現することに挑んでいる人は、すでにその時点でシンパシーを感じざるをえない。

 次号で須田氏の魅力をお伝えしたい。

 (130829 第449回 写真上は、須田悦弘氏と。場所は銀座1丁目のギャラリー小柳。下はアサガオをモチーフにした作品。ちなみに、須田氏が白く、私が黒いのは照明のせいです)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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