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美し人
ココロバエ

心を裸にする

2013.08.21

ゴジラの木 どうして山に登るのだろう。われながら不思議だ。まして、今回のように非常につらい体験をした後は、二度と登る気になれないとなってもおかしくはない。しかし、早くも来年のリベンジを誓っているのだ。

 おそらく、心を裸にしたいのだと思う。われわれは通常、衣服を着用しているが、心にも衣服を着せている。それは習慣であったり、義務であったり、あるいは見栄や虚栄心であったり。あるいは、「常識」という名のシャツだったり……。

 しかし、それらの着心地が悪いことは、じつは当の本人がいちばんよく知っている。日常の忙しさにかまけて、知らないふりをしているだけだ。

 かくいう私もそうだ。傍からは自由奔放に生きていると見えるだろうし、事実、そうに違いないのだが、それでも着心地が悪いと思う時がある。そういったズレの集積をアジャストするため、年に一度、「神と人間の共有結界」に入り込み、浄化するのではないだろうか。そんな気がしてならない。もちろん、確証はなんにもないのだが……。

 今回も思った。夏でも寒風吹きすさぶ高山の荒れ地に、どうしてこうも可憐な花が咲いているのかと。下界では考えられないことだ。でも、たしかに咲いている。しかも、肉厚の花弁ではない。ちょっと乱暴に扱ったら壊れてしまいそうなくらい頼りなげな花だ。

 「薫風自南来」「白雲自去来」「行雲流水」「無一物中無尽蔵」……。

 いま、私は毎日ひとつずつ禅語を覚えているのだが、山にいるとそれらの言葉がスーッとどこからともなく降りてくる。

 (130821 第447回 写真上は、蝶ヶ岳へ登る途中にある「ゴジラの木」)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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