荒ぶる海を行く船のごとく
長野県と群馬県にまたがる荒船山に登った。妙技荒船佐久高原国定公園にあり、妙義山ほどではないが、露出した岩山が印象的。まるで荒海を航海する船のような形から、荒船山と名づけられたそう。
「クレヨンしんちゃん」の作者・臼井儀人さんが、この山の断崖から落ち、遺体で発見されたのは6年前のこと。誤って落ちたのか自殺なのかはわからないらしいが、たしかに断崖から下を望むと吸い込まれそうになる。
それにしても、なぜ山に登るのだろう。かつて「そこに山があるから」と名言を吐いた人もいたが、自分に問うてもよくわからない。
同行した友人は、好きな順に「仕事・山・女」と言っていたが、最後はともかく、仕事と山が好きというのはわかる(本当は全部わかる?)。仕事も登山もできなくなったら、それこそ人生の終盤だろう。
これが荒船山。「山と溪谷オンライン」より拝借 撮影者/三浦啓昌氏
途中の景色。船の上部が霞んでいる
艫岩(ともいわ)は垂直に切り立った岸壁。崖下をのぞき込むなどした際に誤って転落する事故が絶えない。臼井儀人さんもここから落ちた
山腹の岩
佐久から荒船山登山口までコスモス街道を行く
(250928 第1290回)
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