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紺碧の将

神は細部に宿る

2024.10.27

 今回は工芸家について。

 JR王子駅南口に隣接した飛鳥山公園がおもしろい。渋沢史料館を目当てに行ったのだが、歴史好きもアート好きも家族連れも楽しめる。

 渋沢史料館は次回に回すとして、北区飛鳥山博物館のアートギャラリーで人間国宝・奥山峰石氏の作品展について書こう。

 奥山氏は鍛金師である。一枚の鋼板を叩いて鍛えて自在に形をつくり、意匠の形に切り抜いた鋼をその上に接合する。奥山さんの人となりや制作風景を映像で映していたが、興味深いものだった。

 古来、日本人は職人気質の偉人を数多く輩出してきた。それも壮大なものではなく、小さきものを丹精込めてつくる。同じ〝物づくり〟でも、インドでエローラ石窟群やアジャンター石窟群を見たときは、あまりにもスケールが大きく、目がくらんだ。日本にも大仏など大きな鋳造物などがあるが、やはり日本人の心性に合っているのは小さなものだろう。

 奥山氏が語っていた、ある言葉が印象的だった。

 一代一職。

 生涯を賭けて、ただただひたすらひとつの技を究める。

 そんな生き方ができる人は幸せだろう。事実、映像のなかの奥山さんはとてもいい表情をしていた。

 前回紹介した三輪龍氣生氏のように破天荒な作風もいいが、細部に神が宿っているような工芸品も素敵だ。

 

奥山氏の作品。『接合せ菖蒲文花器』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奥山氏近影

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奥山氏の書「美」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じく「一代一職」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北区飛鳥山博物館。デザインがユニーク

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(241027 第1243回)

 

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