多樂スパイス

ADVERTISING

ココロバエ
ココロバエ

早すぎる死

2012.02.14

 弊社(ジャパニスト株式会社)の唯一のスタッフ・大竹智浩が去る2月10日、急逝した。文字通り、夭折といっていい。

 未明、睡眠中の出来事だった。前日までいつもと変わらず仕事をしていた。風邪気味だったことを除いては。それなのに、あまりにも呆気ない最期だった。たぶん、本人も自分が死んだことがわからなかったのではないか。

 享年28歳。

 理不尽だ。あんなに心根がよく、前途洋々で希望に燃え、能力に恵まれていた青年がなぜ?

 今回で12号を数える『Japanist』も最初の4号(1年間)はほぼ私だけで作った。全体の構想、ページ割り、取材依頼、取材、原稿、デザイン・制作、顧客管理、営業のほとんどを一人でこなした。過労で死ぬかと思った。

 そんな時に出逢ったのが、大竹だった。そして、第5号から参加してもらった。つまり、今から約2年前だ。若いのに落ち着いていて、なにごとも淡々と受け容れ、教えるそばから吸収していった。本当は35歳くらいなのではないかと思った。

 この2年間は、まさしく渇いたスポンジに水がしみ込むように成長した。若いということはこういうことかとまざまざと思い知らされた。なにしろ、飲み込みが早い。技術的なことも『Japanist』独特の志も素直に吸収してくれた。その結果、最近では、多くのページを任せられるようになった。

 

 正直、身内の死よりも愕然とさせられた(もちろん、このことは親族には内緒だが)。

なぜ、彼のような人物がこんなに早く天に召されなければならないのか。答えを捜したが、そんなものが見つかるはずはない。涙がとめどなく溢れてきた。哀しいと思っていなくても涙が溢れてくる。困ったなあ、と思っていたところに、ある心優しい人からメールが届いた。私が落ち込んでいたので、励まそうと思ったのだと思う。

 

──最近、ある先生から人生における使命について、とても興味深いお話しをおうかがいしました。

 私たちは、若くして亡くなった人たちのことを、「使命を全うできずにあの世に行ってしまって、さぞかし無念だったことでしょう」と思いがちですが、とんでもない、と。

 早くして使命を全うできたらからこそ、今生でやるべきことをやりきったからこそ、

次のステージにいったのだということでした。

 だとすると、大竹さんは、高久さんのもとで、世の中に深く足跡を残すようなことを

思う存分できて、十分満足したからこそ、次の魂に生まれ変わったのではないかと思います。

 そんな素晴らしい、高久さんと大竹さんとの共同作品を受け継いでサポートしてくださる良き人材が必ずや見つかると思います──。

 

 この文章を読んで、とても救われた気持ちになった。

 他に、亡くなった後の大竹が私宛に書いた手紙という設定で詩を書いて送ってくれた人もいる。

 

 手 紙

 

    突然のことで

    すみません

    僕も

    驚いています

 

    何が起こったのか・・・

 

    迷惑かけて

    すみません

 

    僕は

    世の中のために

    何ができましたか

 

    僕は

    世の中のお役に

    たてたでしょうか

 

    僕は

    幸せでした

 

    広い世界を見れたこと

    広い心を持てたこと

 

    あなたが僕のために

    泣いてくれている

 

    ただそれだけで

    僕は

    幸せです

 

    いろいろと

    ありがとうございました

    それでは

    さようなら・・・

 

 おそらく、大竹の魂もそんな風に思っていることだろう。

 上記の2つは弔辞の場で読ませてもらった。

 多くの人に見送られて、大竹の御魂は天に昇っていった。

 合掌

 

(120214 第318回 写真は『Japanist』第5号の谷村新司氏と中田宏氏対談の取材風景。右端が大竹智浩。大竹の初めての取材体験であった)

 

 

ADVERTISING

田口佳史講座ライブ配信
田口佳史講座ライブ配信

Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

多樂塾

Topics

記事一覧へ
Recommend Contents
このページのトップへ