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美し人
ココロバエ

マダム清子の妙乃燻上

2011.11.04

 さて、右の写真。分厚いスギの板に盛られたものは何でしょう?

 実はこれ、マダムせい子こと津川清子さんが丹精込めて作り上げた燻製で、以前このブログで紹介したエアロコンセプトの菅野敬一さんの「町工場ダイニング」(※例によって、私が勝手に命名)で供されたものである。

 千葉県市川市にお住まいの津川さん、はじめは趣味の延長のつもりだった。ところが、根がこだわり屋さんというか、探求心が旺盛なのだろう、“自分流” でさまざまな食材をさまざまな方法で燻しているうちに、独自の燻製技術が仕上がってしまった。今では「妙乃燻上」というブランドを冠している。今に至るまでの経緯を聞くと、菅野さんがエアロコンセプトを作るまでの経緯に似ていて、つくづく「好きこそものの上手なれ」だなと思ってしまう。

 津川さんはビーフ、チキン、サーモンなど、燻製の定番以外の食材をどんどん燻製にしてしまう。例えば、ゴボウ、オレンジ、バナナ、ニンニク、レンコン、鯛、ニンジン、シイタケなど、手当たり次第という表現がピッタリ(芋類は燻製に合わないという)。

 とにかく津川さんの燻製は時間と手間がかかる。材料に応じてチップの種類を使い分けるし、複数のチップをミックスする場合もまとめてやらず、きちんと順番が決められている。当然、燻煙する時間は大幅に増えることになる。ソミュール液(調味料やスパイスを加えた塩水)の作り方、漬け方、そして乾燥のさせ方にもこだわる。風の具合や温度、湿度はいい燻製を仕上げるうえでの重要な条件だそうだ。

 はじめは趣味のつもりだったのに口コミで注文が増え、今では数ヶ月先まで予約が埋まっているという。間に合わせるためには生産量を増やす以外にないが、職人気質の津川さんが手を抜くことはできない。よって、昼も夜もない生活となる。

 でも、津川さんは楽しそうだ。

 「自分が作ったものを食べて、喜んでくれる。こんな幸せなことはありません」とおっしゃる。そう、人は自分が得意なことで人から喜ばれるのが好きなのだ。

 津川さんの燻製は、数時間食べ続けても不思議と飽きがこない。それぞれ素材がもっている味を損なわず、むしろ旨味を引き出しているからだろう。ワインで炊いたコメで作ったおにぎりも絶品だった。

 マダムせい子。「うー、マンダム」。不思議な人である。

(111104 第293回 写真はマダムせい子特製の燻製)

 

 

 

 

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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