憎しみの連鎖が止まらないアメリカ
チャーリー・カークという人が銃撃された。
トランプ氏が大統領に就任し、勝手放題を始めたとき、これは壮大な社会実験になると思った。世界中にあれだけ憎悪をバラまいた結果、どうなるのだろうと。
今回の銃撃事件も、その忌まわしき社会実験の結果ととらえている。カーク氏は気の毒だが、SNSで膨大な憎しみを拡散してきた結果、それがブーメランとなって自身に返ってくることもありえるとは考えなかったのだろうか。
短時日に支持者を得るために共通の敵をつくりだし、攻撃するという手法はよく見られる。戦後、反日教育を徹底し、政権の基盤を強化した中国や韓国をはじめ、トランプの手法もまさにそれ。対話を重ね、妥協点を探ることが民主主義の原則だが、それは途方もない忍耐を要する。そのため、目先の賛同者を得ようとする者はしばしばこの陷阱に落ちる。
しかし、成果はすぐに現れるが、効力が失われるのも早い。さらに副作用が強いということも肝に銘じるべきだ。相手も人間。攻撃され、不利益を被れば、必ず恨みを抱く。
それにしても、憎しみを煽り、社会を分断させたことは大統領勲章に値するのだろうか。結局、トランプの価値基準は「儲かるかどうか」と「自分の意に従うかどうか」だけ。よくぞそういう人を大統領に選んだものだ。アメリカもいよいよ末期症状と言わざるをえない。
そういえば、銃撃されたカーク氏は今月、都内で講演していたという。招聘したのは参政党。なるほど。
(250914 第1288回)
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