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モリソンの精霊

2012.08.14

 7月の本ブログで、モリソン小林さんの個展に行き、作品を2つ購入したことを書いた。

 その作品がついにやってきたのである。

 なんと、モリソンさんが直接届けてくれた。「宅急便で送って、もしものことがあるといけないので」と言い、スクーターに乗って、わざわざ届けてくれたのだ。

 思えば、この人もスガノチックな要素がたっぷりだ。効率や合理性よりも大切なものがあるということを知っている。

 届けられた2点は、流木に彫刻をした『珊瑚の精霊』と錆びた鉄で作られた『ヒリュウシダ』。後者は、ゆがみガラスを使った、モリソンさんお手製のボックスに収納されている。

 時の流れを封じ込めたようなその作品を窓辺に置くと、ゆがみガラス越しに御苑の緑が透けて見え、なんともいえない風情を醸し出す。見るたびに愛着が増すという作品だ。

 一方の流木の彫刻。いったい、どのような感性をもてば、一本の流木のなかにこのような精霊を見いだすことができるのだろう。「彫る」ということは、余分なものを削り取り、中に存在する何物かを露わにすることだ。流木の二股に分かれているところはそのまま頭部の角(?)になり、中心部は顔と首になっている。

 目が静謐だ。澄んだ眼の表情が、すでに「精霊」そのものだ。今までに精霊など見たこともないが、おそらくこういう目をしているのだろうと思わせる。筋の通った鼻と軽く結んだ口元は、深い教養と節度の持ち主であることを示している。見れば見るほど、引き込まれる作品である。

 木像には神懸かりなものが憑依することがあると言われているが、なるほどこの精霊ならそういうこともありえるのではないか。御苑を漂っている「何物か」が憑依し、私の身近なところにやってくるのだ。時々、涙を流したり、微笑んだり……。

 半信半疑ながら、そういう瞬間が現れないかと、ときどき凝視している。

(120814 第360回 写真はモリソン小林作「珊瑚の精霊」。もうひとつの『ヒリュウシダ』はフェイスブックで公開。http://www.facebook.com/tamio.takaku)

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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