日本人として覚えておきたい ちからのある言葉【格言・名言】
HOME > Chinoma > ちからのある言葉【格言集・名言集】 > ほんとうの調和とは、ぶっつけあうこと。

ADVERTISING

私たちについて
紺碧の将

ほんとうの調和とは、ぶっつけあうこと。

岡本太郎

「芸術は爆発だ!」でおなじみ、岡本太郎の言葉を紹介しよう。「太陽の塔」や「明日の神話」など、奇妙奇天烈摩訶不思議な作品を世に多く知らしめた岡本。彼自身もかなりキテレツだったというが、作品も本人も、一度目にしたら忘れられない。それはきっと、常になんに対しても、全力でぶつかっていたからだろう。著書『孤独がきみを強くする』から抜粋した。
 

 神童モーツァルトは自然の音を集めて作曲したと言われているが、なるほど、あの耳にここち良い音楽は自然の奏でる音楽にちがいない。

 

 風の音、樹々のざわめき、鳥のさえずり、小川のせせらぎ、人々の語らい、ふりそそぐ陽光…。
 よくよく耳をすませば、暮らしの中にもメロディは聞こえる。
 扉の開閉の音、歩く音、ものを置く音、料理をする音、車の音や自転車の音…。
 ひとつひとつは単なる音でしかないのに、音と音がぶつかるとハーモニーが生まれるのはなぜなのか。
 
「日本では、調和というとお互いに譲り合うことだと思っている。でも、これはほんとうの調和じゃない。
 ほんとうの調和とは、お互いに意見をぶっつけ、ぶつかりあうことだ」

 

 音楽が好きで、ピアノの腕前はプロ級だったという岡本太郎の言に習えば、音楽も人の営みも本質は同じ。
 個々がぶつかり、混じり合えば自ずとハーモニー(調和)は生まれるということ。

 

 ただし、ぶつかると言ってもそれは「しっかりした主張や考えがあり、意見をたたかわせる」のであって、「相手のあげ足をとったり、からんだり、わざとぶつかる」ようなことではない。

 

 そんなものは八つ当たりに過ぎない、と岡本は喝破する。
 もちろん喧嘩なんて問題外。
「ほんとうの対決とは、自分を相手にぶっつけ、相手も自分にぶつかってきて、お互いがそれによって活きること」
 
 音と音も喧嘩し合えば不協和音で聴くに耐えない。
 どうせなら心地いい音楽を聴きたいじゃないか。
 
 この世界のさまざまな音が美しいハーモニーを奏でているように、人も一人ひとりちがうからこそハーモニーが生まれる。

 

 譲り合いもいいけれど、譲り合ってばかりでは調和しない。
 ともにハーモニーを奏でたい人がいるなら、太郎さんに習って本気でぶつかってみてはどうでしょう。

 思いもよらない美しいハーモニーが鳴り響くかも。

 

●「美しい日本のことば」連載中

 今回は、「草いきれ」。夏草の生い茂る炎天下では、熱気ととともにむせ返るほど草が香ります。これが「草いきれ」。続きは……。

https://www.umashi-bito.or.jp/column/

●「日日是食日」連載中

(200806 第658回)

【記事一覧に戻る】

ADVERTISING

メンターとしての中国古典(電子書籍)

Recommend Contents

このページのトップへ