日本人として覚えておきたい ちからのある言葉【格言・名言】

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人生は美しい

映画『ライフ・イズ・ビューティフル』より

 映画『ライフ・イズ・ビューティフル』のタイトルそのままを名言に。1997年に公開されたこのイタリア映画は、全世界に笑いと涙の感動をもたらした。第二次大戦中のユダヤ人迫害という重苦しいテーマにもかかわらず、ユーモアに溢れ、それゆえ深く胸に突き刺さる。かくも人生は美しいのか。日本の「あわれ」という美意識を彷彿とさせる。
 
 豊かさとはなにか。
 ある人は富を、ある人は心を、ある人は権威を、ある人は精神を、ある人はそのすべてを豊かさにみるだろう。
 
 某テレビ番組で、ひとりの若い教育者が「豊かさ」について語っていた。
 彼は我が子が生まれたとき、ほんとうの豊かさがわかる人になってほしいと願い、母子手帳にそう書き添えたという。
 

 ほんとうの豊かさとはなにか。
 

 彼はそれを、ナチス強制収容所から生還したヴィクトール・フランクルが執筆した『夜と霧』の中に見つけた。

 

「とうてい信じられない光景だろうが、わたしたちは、アウシュヴィッツからバイエルン地方のある収容所に向かう護送車の鉄格子の隙間から、頂が今まさに夕焼けの茜色に照り映えているザルツブルグの山並みを見上げて、顔を輝かせ、うっとりしていた。わたしたちは、現実には生に終止符を打たれた人間だったのに ーあるいはだからこそー 何年ものあいだ目にできなかった美しい自然に魅了されたのだ」
 
 そんな中、だれかが言った。
 
「世界はどうしてこんなに美しいんだ!」と。
 
 生の極限にあって美しさを見出す「末期の目」。
 それは、人間が本質的に「豊か」であることの証ではないか。
 

 平生はその「豊かさ」の上にまとった富や権力などの強靭な鎧に遮られて、豊かさの本質を忘れているのかもしれない。
 牛乳ビンの底のような分厚いレンズ越しでは、視界は歪み、世界も歪む。
 溢れかえる情報はレンズをさらに厚くするだけで、人生をも歪ませてしまう恐れがある。
 
 ほんとうの「豊かさ」を思い出したとき、人生は美しく輝くことだろう。

 

●「美しい日本のことば」連載中

 今回は、「雲の鼓」を紹介。雲に鼓とくれば、鬼。「風神雷神図屏風」の雷神が浮かびませんか。そのとおり、「雲の鼓(くものつづみ)」とは「雷」のこと。続きは……。

https://www.umashi-bito.or.jp/column/

●「日日是食日」連載中

(200724 第655回)

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紺碧の将

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