私はいつも生徒です
ルーシー・リー
本サイトのブログ「多樂スパイス」でも紹介した陶芸家ルーシー・リーの言葉。
彼女は心から陶芸を楽しんだ。ユダヤ人として迫害され、故国を離れても笑みを絶やさなかったのは、好きな陶芸に打ち込めたからだろう。
その心持ちは、そのまま作品に現れている。心が躍動しているのが伝わってくる作品ばかり。色の形もしがらみから解放されている。売ることや名声なども一顧だにせず、心の趣くままに作陶した。
そんな彼女はこう語っていた。
「新しい作品は新たな出発。私はいつも生徒です」
そう、多くの芸術家が自己模倣の罠にはまるなか、ルーシーはいつもピュアな〝生徒〟だったから、次々と新境地を開拓できた。学ぶことを楽しんでいたから、過去の自分に拘泥しなかったのだ。
すべからくそうありたい。
(250929 第884回)
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