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耳目開閉自在

髙久多美男

 本サイトの運営会社、株式会社コンパス・ポイント代表、髙久多美男の言葉をふたたび紹介。造語をつくるのが得意で、モットーの「多樂」も彼オリジナルの言葉。この禅語も、ふだんから親しんでいる禅や老子、マキャベリズムの思想を合わせた彼オリジナルのものだ。
 
 なにもなかった時代から、ないものはない時代になった今、人は溢れかえるモノや情報で溺れそうになっている。
 もうすでに、溺れている人もいるだろう。
 求めなくとも、勝手に押し寄せてくるのだから。
 
「変化に対応できるものが生き残る」というダーウィンの言葉がそうさせているのだろうか。
 人びとは、移りゆく時代の波に乗り遅れまいと、次から次へと押し寄せる波の状態を確認することもなく飛び込んでゆく。
 なんとも危険きわまりない。
 
 野生の動物なら、そんなことはしない。
 生き残るために、全感覚器官を研ぎ澄ませ、危険がないかを確かめるだろう。
 
 耳目開閉自在(じもくかいへいじざい)。
 読んで字のごとく、
 耳や目は開いたり閉じたり自在であるということ。
 
 だからなんだ、と思うかもしれない。
 そんなことあたりまえじゃないかと。
 
 そのとおり。
 耳は聞くために、目は見るためにある。
 
「一枚の葉っぱを手に入れなさい。そうすれば、宇宙全体が手に入ります」
 
 日本画家の小倉遊亀は、かつて、師である安田靫彦からこう言われた。
 そして、開眼する。
 一枚の葉っぱをじっくりと観察し、葉脈ひとすじひとすじを丹念に描いた。
 葉っぱの全体像をつかんだ彼女は、その後、描く必要のない線を省いていった。
 小倉遊亀は日本画壇に名を残すまでになり、画家として105歳という長寿をまっとうした。 
 
 聞くべきものを聞き分け、見るべきものを見極める。
 それが、本来の耳や目の役割ではないか。

 波はどんな音をしているのか、大きさはどれくらいなのかと。
 
 変化に合わせるのではなく、自分自身を成長というかたちで変えていくのだ。
 それにはまず、波に流されないよう、じっくりと腰をすえて耳目開閉してみてほしい。
 ときに耳をすまし目をこらし、ときに耳も目もクローズし、必要なものとそうでないものを見極めよう。

 

「美しい日本のことば」連載中

(190303 第387回)

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