あなたの大きさは、あなたの心を乱すものの大きさなのですよ
一昨年の暮れに逝去したノートルダム清心学園理事長、シスター渡辺こと渡辺和子さん。彼女のお母さんが口癖のように言っていた言葉のひとつがこれだった。母親はとくに末娘のシスターには厳しかったという。
あなたはどんなことで心乱されますか?
人? 言葉? 行動?。
他人に? それとも身内に? あるいは自分自身?
人はどんなに冷静を装ってみても、何かの拍子で心乱されることがある。
きちんと閉ざしていたはずの心の隙間に、ひゅるると風は容赦なく入りこんでくるから。
冷たい風ならぶるっと体は震えるだろうし、熱風であれば思わず顔を背けたくなる。
なにはともあれ、一陣の風は静かな木立をざわつかせるように、おだやかな心をざわざわと波立たせる。
それがプラスに作用するときはいい。
マイナスに作用してしまうことが問題なのだ。
「なんだ、そんなことで?」と思うこともある。
「ちっちゃいな〜」と、情けなくなることだって。
「これは許せても、これは許せないでしょ」なんてことも。
器の大きさは人それぞれ。
かたちだって、人それぞれ。
だから、容量も質量も人それぞれ。
大きかったり小さかったり。
丈夫だったり繊細だったり。
どれも悪くはないけれど、どうせなら変幻自在がいいんじゃない?
「上善は水の如し」と言うくらいだし。
柔軟心、柔軟心。
生前のシスターは穏やかな人だったそうだが、若い頃は短気で血の気が多かったようだ。
それを戒めるために母親が折に触れて「あなたの大きさは…」と諭していたのだとか。
心乱す要因を観察して、ときどき自分の器の大きさを測ってみるのもおもしろい。
(180222 第405回)