日本人として覚えておきたい ちからのある言葉【格言・名言】
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紺碧の将

「私」とは、息を吸ったり、吐いたりするときに動く回転扉にすぎません

鈴木俊隆

 欧米では、禅といえば「二人の鈴木」だといわれている。一人は、言わずと知れた仏教学者、鈴木大拙。そして、もう一人の「鈴木」がこの鈴木俊隆禅師。かのスティーブ・ジョブズとも親交があり、著書『禅マインド ビギナーズ・マインド』はジョブズの禅のバイブルであったという。その中の言葉のひとつである。

 

 われわれは、「自分」が呼吸をしていると考える。

 だが、本来は呼吸器官がその働きを遂行しているだけにすぎない。

 ためしに一度、呼吸を止めてみてほしい。ものの数分で苦しくなり、自ずと呼吸をしはじめるだろう。心臓はどうか。自分の意思でもってその動きを止められるだろうか。そんなことはできない。

 自分の体の一部であるにもかかわらず、である。

 そんなことあたりまえじゃないかと思うかも知れないが、ケガをすれば傷口は塞がり、風邪をひけば熱を出して菌を死滅させようとするこの働きがなかったら、と考えてみてほしい。なんとありがたいことか。

健気にも細胞は、粛々と務めを果たしているのだ。そこには、「自分」という意識を超えたなにかが存在する。

 

 つまり、ある一定のリズムによって動いている宇宙の法則が、われわれ人体の中にも存在するのだということ。だれもが計り知れない力をもっているということでもある。

 それが理屈を超えて理解できれば、一切の物事は、成るべくして成る、あるいは、落ち着くべきところに落ち着くということだろう。

 とはいうものの、「自分」という意思そのものはあまりにも弱いがゆえに、同じ失敗を繰り返したり堂々巡りの悩みを抱えてしまう。どうせ繰り返すなら、良い習慣を身につけ、繰り返してみてはどうか。それが自信へとつながり、良い結果をもたらすかもしれない。

 

 人体に潜む宇宙を具現化するためにも、日常に一定のリズムは必要であり、その働きがよりスムーズに、グレードアップする方法をつねに模索する必要があるのではないだろうか。

160108 154回)

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