失敗だって? 「うまくいかない」ということが確認できたのだから成功さ。
トーマス・アルバ・エジソン
3.11以来、日本中で討議の対象となっている電力供給システム。その元となる配電システムを開発し、実用化したのが他でもないエジソンである。
1000を超える発明が彼の業績としてカウントされているが、完全にエジソンがオリジナルだとされる発明はあまりないという評価もある。
たとえば白熱電球も、灯りをともすことに成功したのはエジソンではなく、彼はフィラメントに従来品よりも耐久性のある竹を使ったことで実用化を成し遂げただけである。革命的と評される成功とその手前で歴史の闇に葬り去られる失敗との間にあるのは、既存の蓄積に加えたちょっとした「一工夫」なのである。
その一工夫を見つけ出すことが難しいのであるが、うまいコツなどはない。「失敗は成功のマザー」とは先日国民栄誉賞を受賞した長嶋茂雄氏の偉大なる名言だが、長嶋さんは超がつくほどの楽天家として知られている。エジソンもきっとそうだったに違いない。
失敗を失敗と認めない、開き直りともいうべきエジソンの思考スタイルこそが、彼の発明人生を切り開く源泉だったのだ。
(130508第73回)