未来の医師は、薬で人間を治療するのではなく、栄養・食事によって予防し、治すだろう
本コラムは「ちからのある言葉」というタイトルである。このエジソンの言葉自体は力をもっているものの、ここで書かれていることと現況を鑑みると無力感を覚えてしまう。
エジソンが生まれたのは1847年。この言葉がいつ頃発せられたのかわからないが、仮に1900年前後とすれば、すでに100年以上の歳月が流れていることになる。
エジソンの言う「未来の」もいつ頃を指しているか判然としないが、もし100年後あたりを想像して語ったのであれば、現況との落差に愕然とするばかり。周囲を見回しても、薬に頼らず栄養・食事で病を治そうとする医師など、ごくごく稀にしかいない。
なぜ日本はかくも病人大国になってしまったのか。それは栄養・食事によって予防しようとせず、薬に頼っているからだ。さらにいえば、定期検診などによって悪いところを「見つけてもらう」まで自分の体を放っておくからだろう。
アメリカを含め、国民皆保険制度がない国は自分で自分の身を守らなければならない。診療を受けると驚くほど高額の治療代を求められるため、よほどの状態でなければ病院へ行かない。そういう事情もあってか、西洋では特に知識層の間で東洋医療、すなわち食事などによって病気を予防するという意識が高まっていると聞いた。
日本の医療は逆行している。
(240915 第864回)
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