自然のいちばん繊細な手仕事は、小さなもののなかに見られます
レイチェル・カールソン
環境問題の告発本『沈黙の春』で知られるレイチェル・カールソンが、最期の手記『センス・オブ・ワンダー』で、自然へのまなざしをこう書き残している。
色を変え、姿を変える木々のまとう葉や、飛び交う鳥や草かげにひそむ虫たち、道ばたで人知れず咲く草花、あるいは、風の声、小川のせせらぎ、雨あがりのみずたまり……。
いつもの見慣れた景色でも、思わず魅せられてしまう瞬間はあるだろう。
自然の力とは、たとえ忘れてしまっていたとしても、自然同志が互いに呼び合う力なのではないか。
幼い子供の感受性が大人以上に優れているのは、まだ自然のありようのままだからにちがいない。
小さいからこそ、小さなものや小さな変化に敏感なのだ。
大きく見えるこの世界は、小さなものの集まりでできているのだから、ささやかで、小さなことを疎かにはできない。
(151026第132回)