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Interview Blog vol.64

人生を思いっきり楽しむ。それが会社繁栄の秘訣です

イートランド株式会社 代表取締役社長高久和男さん

2018.12.01

先代から受け継いだ会社をおよそ4倍の規模に拡大し、今も業績を伸ばし続けるイートランド株式会社。その代表取締役兼社長を務める高久和男氏は、知る人ぞ知る奇才の経営者。高額の収入も入ったそばから消えてゆき、通帳残高はスズメの涙。それでも本人はどこ吹く風。先代の父の経営理念である「営業するな、人を引き抜くな、業者を切るな」をモットーに、仕入先も従業員も切ることなく、多くの人から愛されています。布袋さんのような笑顔で飄々と生きる高久社長の、常識では考えられない経営の秘訣をうかがいました。

何をやっても許される、怖いものなしの経営者

高久さんは、弊社代表の髙久と同じ名字ということで、よくご兄弟に間違われるそうですが、本当にご兄弟ではないのですか。

 はい、違います。周りからは良くできた弟とどうしようもない兄などと言われますけどね(笑)。血のつながりはまったくありません。彼とはかれこれ30年来の友人です。

それにしても、高久さんは常識では考えられない経営をしているにもかかわらず、グループ企業12社と食関連の専門学校3校を運営し、約2000人もの従業員を束ねる代表を務めていらっしゃるということですが、そのことを弊社の髙久はいつも驚きと尊敬の念をもって話しています。あんなにいい加減なのに、信じられないと(笑)。

 そうなんです。みんなよくやってくれていますね。私が何もできないから、周りが助けてくれるんですよ。この会社を父から受け継がなきゃいけないとなって現場を経験したとき、できることはなんでもやろうと思ったけれど、何をやってもだめでした。経理をやれば数字は合わない。配達をすれば、商品をひっくり返す。厨房を手伝えば火事を起こしそうになる。そんな具合ですから、優秀な人が集まってくれたんでしょうね(笑)。

それは周りもなんとかしなければと思いますね(笑)。ご自身が運営する専門学校の入学式に、理事長として出席するところを遅刻したというのは本当ですか。

 はい、すっかり忘れちゃってね。夜更かししたせいでぐっすり眠っていたら、朝、職員から電話があったんです。「理事長、今日は学校の入学式ですよ!」って。入学式が始まっても私が来ないもんだから、慌てて電話してきたらしいです。

理事長が入学式に遅刻するとは、考えられないですね(笑)。問題にならないんですか。

 もう、私が何をしても、みんな驚かないんですよね(笑)。高級レストランで食事をしても、立ち食いそばで食べていても、コンビニでアダルト雑誌を立ち読みしても、だれも驚かない。しょうがないな、って笑っています(笑)。いつものことだと思ってね。

何をしても許されてしまう、と。怖いものなしですね(笑)。子供の頃から、そうなんですか。

 子供の頃から「忘れ物の天才」で通ってました(笑)。文房具やお弁当を忘れるのは当たり前で、通学バスの中にランドセルを忘れたこともあります。学校に着いて、ようやく起き忘れたことに気づくんですよ(笑)。バスに乗ってると窓の外の景色が気になっちゃってね。落ち着きのない子供でした。

父から受け継いだ会社と経営理念

そうですか(笑)。しかし、会社の業績は伸びる一方だとうかがっています。新しい案件が向こうからどんどん来るということですが、その秘訣はなんでしょう。

 何が秘訣かわかりませんが、私は父から言われたことをずっと守ってやってきました。
「他社の仕事は取るな」「営業するな」「人を引き抜くな」「業者を切るな」「他社がやりたがらないことをしろ」「どんな人でも採ってやれ」と。そういうことを肝に銘じています。

イートランドは高久さんで2代目ですよね。

 そうです。イートランドと命名する前は、日本栄養給食協会有限会社という名前で、父が設立した会社です。先代の父は、もともと県庁勤めの公務員だったのですが、50歳で退職して起業したんですよ。栄養学を学んでそれを生かすために長年、県庁に勤めていました。ただ、「食の分野は栄養士や調理師といった食の専門家がリードしていくべきだ」という信念を強く持っていて、実際に調理師や栄養士を育てるには退職するしかないと考えたようでした。

50歳で公務員を辞めて起業するというのは、かなり勇気のいることだと思いますが、不安はなかったのでしょうか。ご家族の方々や周りの反応はいかがでしたか。

 私は、父からいつか起業したいということは聞いていたので、驚きはなかったです。そこは家族も同じだったと思います。しかも、徳の高い人でしたから、周りの人たちにずいぶん助けられました。
公務員時代の父は、公務員らしくない人でね。発想が自由で、民間の人や企業を大切にしていて、けっして偉ぶることもありませんでした。だからこそ、起業したときも、たくさんの民間人に助けられたんだと思います。
父は「食は人が人らしくあるための最後の砦」と考えていました。だから、私にも「人らしく道をゆけ」と言っていました。

徳が高いということであれば、高久さんも同じだと思います。高久さんの周りにはいろんな人が集まってきますよね。

 いろんな人が集まってくるから楽しいですよ。父の経営理念の根本は「人の不幸の上に自分の幸福はない」というもので、他者の仕事を奪うことを良しとしないのは、そこの社員の生活も奪うことになってしまうからです。私自身、そういうつもりで人と付き合っています。

「どんな人でも採ってやれ」とおっしゃっていましたが、従業員を採用するときの条件はないのでしょうか。

 優秀な人は、うちでなくても、どんな会社でも入れるでしょう? 当社はいろんな職種がありますから、どんな人でも必ずできる仕事があるんです。だから、採用するときも選り好みしません。私自身「何をやっても失敗する男」でしたから、よくわかるんですよ。それが、仕事の領域が変わって、私にもできることがあった。そう思えば、誰でも一つは必ずできることがあるんです。

人生は苦しむためではなく、楽しむためにある

ところで、高久さんはかなりの高収入にもかかわらず、そのほとんどは使ってしまっているそうですね。何に使っているのですか。

 遊びです(笑)。父も「遊ぶためのお金は惜しむな」とよく言っていました。遊び方を学ぶことも人間の度量を大きくするし、遊び方を知らない人間は一人前の大人ではないという考えなんでしょう。
それに、私は楽しいことが好きなんです。人生は苦しむためでなく、楽しむためにあると思っています。お金を使うことで人が喜んでいるのを見るのが何より楽しい。たとえ、ボロ屋に住んで何もない生活でも、楽しめる自信はありますよ。何もなくても、夜空の月や、きれいな草花を見て美しいと感動できるしね。かっこつける必要なんて、これっぽっちも感じていないから。ただ、カミさんからは「葬式の費用くらいは貯めておいて」と言われるけど、葬式を出せるほどの貯金はないです(笑)。

遊びというのは、どんな遊びですか?

 いろいろだね(笑)。趣味が多くて、学生の頃から山岳部で、今でも夏は登山にでかけます。おたくの高久君とはかれこれ10年以上、高い山に登っていますよ。北アルプスとかね。スキューバーダイビングもします。冬はスキーにも行きますね。長年「サンザンオールスターズ」というバンドで、ドラムを担当しています。

そうでしたね(笑)。社員の方が作った、選挙ポスターを真似たバンドのポスターを見ました。高久さんは「無印粗品」と書かれた襷をかけていました。社員の方もやりたい放題ですね(笑)。

 そうなんですよ(笑)。おもしろいし、周りも喜んでくれるからいいんです。

茶道を嗜まれたり、仏教にも興味があるそうですが。

 はい。大学生のときに学生運動がきっかけで、仏教に興味を持ちました。この世の中は、いったい何が本当なんだろうという思いが頭からはなれなくてね。その答えが仏教、特に禅ではないかと思ったのです。一番、真理をついている気がして。それで、鈴木大拙全集を買って読みふけりました。

イートランドのように業績を伸ばし続けられるような経営をするには、何が一番、重要なのでしょう。

 見栄や固執するものを払いのけて、思いのたけを経営に向けていれば、誰にだった経営はできると思いますよ。結局、誰と話しをするのかってこと。世間の人と話をするのか、もっと大きな存在、天とか真理とか、そういうものと向き合うかどうかじゃないでしょうか。
文明が進歩すればするほど忘れがちな「人間らしさ」を意識していかないといけないと思います。食にも便利さというものは必要だけど、そこに「人らしさ」がなくてはならない。食が人の心に与える影響は計り知れませんからね。
 周りがどうであれ、私たちがなすべきことは、地位の向上を目指すことではなく、自分たちが信じた道を行くことです。「未来の食のあるべき姿の実現」を、胸を張って追求していく、ということですね。 

 

Information

【イートランド株式会社】

〒321-0968
栃木県宇都宮市中今泉1丁目22−12

TEL. (028)638-5655 FAX. (028)638-5660

http://www.eatland.co.jp/

 

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