石川啄木
明治の歌人、石川啄木の『一握の砂』より抜粋した。啄木については今さら説明するまでもない。あまりにも有名な歌集ゆえ、知っている人も多いだろう。 この歌を目にしたときは大きく頷いてしまった。 誰でも一度や二度、啄木のような気持ちになったことはあるのではないか。 ましてや、当時と違っ
齋藤史
陸軍軍人で歌人だった齋藤瀏の娘で、同じく歌人の齋藤史の歌である。二・二六事件で反乱軍を援助したとして禁固5年の刑に服した父の背を見つめながら、激動の時代を生き抜いた齋藤史。我が身の運命とまっすぐに対峙し、その心情を歌に綴った。 年を追うごとに時間の巡りは早くなる。 まるで、時に
『モンテ・クリスト伯』より
たびたび取り上げているアレクサンドル・デュマの『モンテ・クリスト伯』より抜粋。またかと思うだろうが、ネタが尽きているわけではないのでご安心を。 この一節は、物語の最後の最後。モンテ・クリスト伯ならぬエドモン・ダンテスがその激烈な体験を通して得た感懐。その後につづく「待て、しかし
『水曜の朝、午前三時』より
蓮見圭一の小説『水曜の朝、午前三時』より抜粋。このタイトルに見覚えのある、いや、聞き覚えのある人は多いだろう。そう、1960年代を代表するミュージシャン、サイモン&ガーファンクルのデビューアルバムのタイトルと同じ。といっても、歌詞とこの物語の内容に接点はほとんど見当たらない。し
『マチネの終わりに』より
ギタリストとジャーナリストの甘く切ないラブロマンスを描いた平野啓一郎の『マチネの終わりに』より抜粋。 知的な言葉の連なりに、アコースティックギターの硬質で艶のある音色が絡み合いながら物語は進む。互いに思い合う2人を運命は無常にも引き離そうと、それぞれの時間をシンコペイトしてゆく
立花大亀
大徳寺塔頭徳禅寺長老、立花大亀老師の言葉である。以前にも紹介したが、「あんたのおかげで物ばかりのいやな日本になってしまった。なんとかしてくれ」と松下幸之助に苦言を呈したことで、あの松下政経塾ができたことはご存じだろうか。 なぜ人は自然に逆らおうとするのだろう。 人間も自然の一部