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後ろへ引けば視野が広がる

森正弘

 ロボット博士こと、森正弘氏の言葉を紹介。著書『退歩を学べ ロボット博士の仏教的省察』から抜粋した。森氏は工学博士でありながら、30年以上にわたり仏教や禅を研究しつづけている。おもしろい人もいるものだ。
 
 冒頭にあった。
「すべからく回光返照(えこうへんしょう)の退歩を学すべし」と。
 道元禅師が書いた『普勧坐禅儀(ふかんざぜんぎ)』の中の金言らしい。
 
 つまり、禅の世界こそ「退歩」だと言っている。
 解決を外に求めることを「進歩」というのに対し、歩みを止め坐禅をして心を落ち着かせることを「退歩」というのだと。
 
 想像して欲しい。
 室内に入り込んだ一匹のハエが、外へ出たくて窓ガラスにへばりつき、あたふたしている様子を。
 反対側の窓は開いているのにもかかわらず、である。

 

「なにやってんだ、あっちは開いてるのに・・・」
 と、ハエの愚かさに呆れはしないか。
 ロボット博士は、これぞ現代人の姿だと喝破する。
 
 経済成長や技術の進歩が果たしてきた功績は計り知れない。
 だが、それも、ここにきて行き詰まった感は否めない。

 はたして、成長、進歩するばかりがいいのかどうか。
 禅や瞑想、断捨離、断食がブームになっている昨今の状況を鑑みると、「ちがう」という声なき声が聞こえるようだ。
 
「このハエに、退歩する知恵があったならと思う。後ろへ引けば視野が広がり、開いた場所が見える。そこから出るだけで、わけなく助かるのである。肝心な点は、ガラスの存在を見抜く眼力と退歩する心の余裕があるかどうかである」
 
 成長や進歩が悪いわけではない。
 ただ、そればかりでは突破口は見つからない。

 

 もしも現状からの出口を探しているなら、後ろへ下がってみるといい。
「なーんだ、こんなところに出口があったのか」
 と、わけもなく広い世界へ飛び立てるだろう。

 

「美しい日本のことば」連載中

(181211 第367回)

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