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Interview Blog vol.67

主婦目線で、調味料の素晴らしさ、奥深さを伝えていきたい。

調味料コンシェルジュ石川貴代さん

2019.01.01

以前紹介したグラフィックデザイナー/写真家の石川明宏さんの奥様である石川貴代さんは、調味料コンシェルジュとして各地を巡り、調味料を研究しながらワークショップを行ったり、企業とのコラボレーションでレシピの監修などをされています。また、日本昆布協会の昆布大使として昆布をPRする活動も行なっており、土地に根付いた調味料の魅力を伝えています。調味料コンシェルジュとなったきっかけをうかがいました。

体調を崩して気づいた食と体の関係

調味料コンシェルジュというお仕事をされていますが、昔から調味料にご興味があったとか、料理に関するお仕事をされていたのですか。

 2011年の東日本大震災の際、大きな揺れの後にしばらく続いた小さな揺れで地震酔いのような状態となり、体調を崩しました。一ヶ月ほど食が細くなって体重がおよそ6kg落ちてしまい、人は食べられないと痩せていくんだということを実感しました。

 夏頃まで続いたでしょうか。冬にはだいぶ体調も戻ってきて少しずつ食べられるようになりましたが、それまでのことを振り返った時、体は食べたものから大きな影響を受けるのだと再認識したんです。それまで料理を仕事にしたことはありませんでしたが、料理をすることをそれまで以上に大切だと思うようになりました。

もともと料理は好きだったのですか。

 人並み程度です(笑)。料理への関心が強くなってからは、食材を引き立てる調味料の素晴らしさに気付いたので、調味料のことを学び始めました。

独学ですか。

 いいえ。一般社団法人野菜ソムリエ協会に調味料の講座があります。そこで学び、調味料の資格を取りました。私は皆さんに調味料の魅力や関わり方をお伝えしたいと思い、今は調味料コンシェルジュと名乗っています。

資格を取得されて、すぐに仕事につながったわけではないですよね。どうやって仕事に結び付けられたのですか。

 最初にお仕事をいただいたきっかけは、“みりん”なんです。白みりん発祥の地である千葉県の流山市で、様々なみりんを集めたイベントが行われました。ちょうど調味料の資格をとって間もない頃でしたが、みりんも研究してみたいと思っていたので、イベントの感想や調味料の資格を取得していることなどを書き、Eメールを市役所に送りました。

そこから仕事につながったということですか。

 流山市はシティーセールスに力を入れていて、その一貫として、私のEメールを読んだ市役所の方から、流山のみりんのPRをしてほしいと依頼があったのです。

具体的にどういうことをされたのですか。

 「森のみりんマルシェ」という大きなイベントが開催され、その時にみりんを使ったワークショップの講師を担当しました。開催期間の前後に、同市シティセールスSNSにて、「調味料歳時記」というコラムも書かせていただきました。

好きな地理と歴史が生かされる仕事

そうでしたか。それにしても、野菜ソムリエ協会の資格の中で、調味料の資格を選ぶというのもおもしろいですね。

 最初は野菜のことも学びましたが、調味料の奥深さに驚かされたんです。もともと歴史や地理が好きで、学生の頃も社会科が得意でした。子供の頃から地図帳を見るのが大好きで、山や川などの地形を見ては「ここに行ったら何があるのかな」と、よく考えていました。

 それぞれの土地にはそれぞれの歴史がありますよね。それが、調味料を学び始めたときに、より鮮明になったのです。地方によって醤油、味噌などの成り立ちがぜんぜん違うと。

好きだった歴史や地理とつながったのですね。

 そうなんです。「これはおもしろい!」と思って、より深く学んでいきたいと思いました。食材の良さや料理の美味しさをお伝えするだけでなく、その料理と共にある調味料をお伝えするのに、好きだった社会科が生かせるのではないかと思ったのです。食材や料理の良さをお伝えするにしても、使っている調味料のバックボーンも知っていただく方がよりわかりやすいです。

 そうですね。今、仕事で関わらせていただいている石川県輪島の“塩”は、能登半島の清らかな海水から生まれる海塩です。寒流と暖流が合流するその海は豊かな漁場で、海塩にはミネラルがバランス良く含まれています。

子供の頃に好きだったことや、学生時代に好きだった科目が仕事で生かされるというのは理想的ですね。

 得意なことを生かしたいと思っていたので、それが叶って嬉しいですね。

しかし、まさか料理につながるとは思わなかったのではないですか。

 はい。例えば、江戸っ子が愛した濃口醤油の成り立ちを考えてみましょう。千葉県の野田は、現在でも醤油の町として有名です。野田の醤油は、行徳の塩、群馬や埼玉からの小麦、茨城でとれる大豆を原材料として製造されました。利根川や江戸川を利用して原材料を集め、また江戸川を利用し江戸まで運びました。つまり、地理につながるんですよね(笑)。

調味料を掘り下げていくと、自分たちのルーツにつながるような気がしますね。

 私は「昆布大使」の一人として、“昆布”のPRを担当する役目もいただいて、その活動を行なっています。今年で5年目になりますが、これは日本昆布協会が任命する役割で、現在、私を含め数十名の昆布大使がいます。

原点や基本を知ると料理の世界が広がる

一般的に関東は鰹出汁、関西は昆布出汁が主流ですよね。

 はい。どちらがいいというわけではないので、どちらも知ることは大切です。広く、後世にも伝え残していくべきだと思っています。

なるほど。北海道でとれる昆布というと、利尻昆布がありますね。

 はい。利尻昆布は、北海道の北部でとれる昆布で、南部の方では真昆布や日高昆布なども採れます。浜によって採れる昆布の種類や味も違ってきます。ただ、今は気象条件がずいぶん変わってきていますので、年々、生産量は減っているそうです。そういった気候変動に加え、後継者不足なども関係して、生産者の減少や地域の衰退が危ぶまれている状況で、なんとかしなければいけないという危機感があります。

それは昆布だけの話ではないですよね。塩にしろ、野菜にしろ、さまざまな生産物や生産者が危機的状況に置かれていると思います。自然環境の変化が大きな原因ではないでしょうか。

 そのとおりだと思います。そういう意味でも、私は以前にも増して地理や歴史への関心が強くなっています。調味料も歴史などを知ることで、よりいっそう料理の世界が広がると思いますから、そういうことをお伝えできれば…と思います。

昆布大使以外にも何か活動はされているのですか。

 企業から依頼を受けて、レシピの監修も担当しています。例えば、“出汁”をレンジで気軽に引ける調理器具のレシピにも関わりました。

そういうこともされているのですか。気軽に出汁が引けるのは便利でいいですね。

 使い方次第で、忙しい主婦の頼もしい味方になってくれます。ただ、そればかりに頼るのではなく、時間のあるときには、お鍋を使って丁寧に出汁を引いてほしいです。それを知った上で、時には便利な道具も活用して、日常の負担を減らしながら料理を楽しんでほしいと思います。

レシピの開発となると、すべてのメニューをご自分で考えられるのですか。

 基本的にはそうですが、一緒に仕事をしている関係で夫が考えることもありますし、二人で意見を出し合って考えることもよくあります。

今後、こんな風にしたいというビジョンはありますか。

 今もそうですが、プロの料理人とは違った目線で伝えていけることを増やしていきたいです。企業とのコラボレーションでは、主婦目線でのプロモーションをより充実させていきたいと思います。そのためにも、調味料をより深く探求していきたいですね。

Information

【ストーンズリバー 石川貴代(調味料コンシェルジュ)】

HP: http://stonesriver.info/takayo

Facebook: http://www.facebook.com/takayo.ishikawa.10

E-mail: takayo77@icloud.com

Mobile phone: 090-1776-1471

 

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