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いのちに齢を加えるのではなく、あなたの齢にいのちを加えよう

日野原重明

 昨年(2017)、105歳で亡くなった聖路加国際病院名誉院長、日野原重明氏の言葉である。予防医療や終末期医療に尽力し、「生活習慣病」という言葉を生んだことでも知られている。一方で、子供たちへ命の大切さを伝える命の授業にも積極的に取り組まれた。以前、本欄で日野原氏の授業を受けた10歳の子の言葉を取り上げたことがある。

 

 この言葉に出会ったとき、何百年、何千年と生きたであろう巨樹が目に浮かんだ。
 正確に言えば、巨樹の絵である。
 その絵を描いた画家は、こう言っていた。
「生きているものは、ねじれや揺らぎ、不揃いさがあります。そして、厳しい場所に、上へ上へと枝を伸ばし、命が続いているという事実を見せつけられる。そこに命の尊さを感じるのです」と。
 
 人は、歳をとることをいたずらに恐れる生き物である。
 衰えゆく様を目にし、若かりし頃の姿をなつかしんでは、ため息をつく。
 人間以外の生き物には、ありえないだろう。
 
 巨樹の前に立つと、何か不思議な力を感じる。
 包み込むような、それでいて推し返されるような、強いエネルギーを感じるのだ。
 人間には計り知れない時間の堆積を抱えた巨樹の強靭な生命力が、そうさせるのだろうか。
 その年輪たるや、銀河の渦のごとくにちがいない。
 
 巨樹とて最初から巨樹になろうと思ったわけではないだろう。
 根を下ろした場所を永住の地とし、風雨に耐え、人災に耐え、それでも生きる喜びをその葉に謳った。
 訪れる季節に身をあずけ、生き物たちと守り守られてゆくなかで、時が一輪二輪と降り積もっていったがゆえのことである。
 
 日野原氏は「命は時間だ」とも言っていた。
 命はエネルギーの塊だから、一輪一輪、命を重ねてきた巨樹が、強靭な生命力を誇るのもうなずける。
 

 人間の一生は、巨樹のそれにはとうてい及ばない。
 だとしても、もちうる時間をどう生きるかは、巨樹をはじめ、自然に学ぶことはできるのではないだろうか。
(180904 第340回)

 

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