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自分が好きなことを見つけて無我夢中で取り組み、ひとつずつ目標をクリアする。そうやって愉しみながら、自分という人間をぶ厚くしていく……。今がベストで、未来には未知の楽しみがある。これが、多樂の本質である、と『多樂スパイラル』のまえがきで書いたが、その原理原則は今も変わっていない。

日々の生活のなかで、森羅万象に潜む多樂をいかに味わうか。心に映りゆくよしなごとを書き留めておこう。それが読者の方々にとって、なんらかのスパイスになればとの願いもこめて…。

 

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依存し過ぎることの危険性

2017.09.13

 ググッとグンマ第2弾は富岡製糸場。

 世界遺産に登録されたことで一躍人気スポットになった富岡製糸場。明治初期の殖産興業政策を推進したエンジン役として、はたまたわが国に莫大な利益をもたらした、当時最新鋭工場として、かねてから見学したいと思っていた。

 あいにくの雨だった。が、予想外に人出が多い。やはり、世界遺産という〝お墨付き〟の威力はすごい。

 市の無料駐車場に車を停め、市内巡回バスに乗る。わざと遠くに駐車場をつくり、中心部を巡回させるという手法は、ありきたりではあるが中心部の賑わいを取り戻すには有効だ。

 富岡製糸場に着くなり、私らしくない選択をしてしまった。ボランティアガイドのツアーに参加してしまったのだ。富岡製糸場に関する基礎知識を仕入れながら見学した方が理解が深まると思ったのだが、安直の謗りは免れない。

 ガイド役の年輩の男性は、たしかにいい人だったと思う。しかし、いかんせん滑舌が悪く、イヤホンから聞こえてくる声があまり聞き取れない。その分、見たいものへの意識が薄れる。ときどき冗談を言っているらしいが、誰も笑わないので自分で笑っている。ストレスが増した。やはり、自分の〝目〟を頼りに見るべきだったと悔やんでいる。

 

 それはともかく、明治時代、繊維産業は国家に大きな富をもたらした。一説によると、年によっては国家収入の4割前後にのぼったという。

 しかし、だからこそ、教訓があると思う。極端に繊維産業に依存する経済構造はその後、昭和恐慌をもたらすことになる。ウォール街の大暴落から始まった世界恐慌の煽りを受け、生糸の輸出が激減してしまったのだ。脆弱な産業構造ゆえ、日本経済は瀕死の状態になった。背に腹は代えられない。日本は活路を満州に求め、進出していくことになる。

 戦争と経済は密接に結びついているのだ。特定のものに依存し過ぎることの危険性を、当時の繊維産業の隆盛は示唆してくれている。

 見学しながら思った。イギリスの産業革命もそうだが、労働集約型産業の勃興は、奴隷的労働の始まりでもある、と。ここで働いていた女子たちの労苦に思いを馳せた。医療費はすべて無料だったというが、裏を返せば、多くの女工が病になったということだ。

 もちろん、近代産業の発展を悪く言うことはできない。今を生きている我々がそれらを享受しているのだから。

(170913 第751回 写真上は繰糸場棟、下は自動繰糸機)

 

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