人の数だけ物語がある。
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Interview Blog Vol.38

ネイティブ・インディアンたちから託された思いを物語に乗せて伝えていきたい。

北山耕平氏翻訳『虹の戦士』の語り部坂口火菜子さん

2018.03.11

カナダで出会ったインディアン・クリー族から託された思いを、自ら語り部となって発信している坂口火菜子さん。上石神井の自宅で「ちょっとしたカフェ」を経営しながら、仲間とともにイベントの主催やカナダへの旅を企画運営しています。さらに、北山耕平氏翻訳の『虹の戦士』の語りライブは反響を呼び、ぞくぞくと共鳴者が現れています。彼らからの依頼により毎年全国各地、数十ヶ所以上で語りライブを行っているそうです。

初めてのカナダでメンターに出会う。

火菜子さんは語りライブを行っているのですよね。きっかけはなんですか。

 作家の北山耕平さんが翻訳された『虹の戦士』という物語に出会ったことがきっかけです。その物語は、私がカナダで出会ったインディアンのクリー族の方に教えてもらった話ととてもよく似ていたんですよ。初めてこの本を読んだとき、これは私が語り伝え必要な人に届けたいと、強く思ったのです。というのも、クリー族の人たちから、彼らの教えを伝えるようにと託されていたからなんです。

それは、いつのことですか。

 はじまりは2002年の夏でした。パフォーマンスツアーで訪れたカナダのサスカトゥーンという町で、現地の舞台設備スタッフチームのボスだったクリー族の男性と出会ったのです。名前をケネッチといいます。私たちが彼と一緒に過ごしたのはわずか数日でしたが、その間、彼はネイティブ・アメリカンの哲学や歴史などの話をたくさん聞かせてくれました。その話はどれも衝撃的で、体中にビンビン伝わってきたんですよ。しかも、案内されたオフィスには、壁一面に絵が描かれてあって、それがとても不思議な絵だったんです。宇宙空間の中に大きなワシの羽が二つあり、その間に地球があって、周りを人間が溶けるように手をつないで囲んでいる。また、地球の中には十文字で四つに区切られた円があり、それぞれ赤、黄、白、黒で塗られていました。その絵を前にして、彼は話してくれました。

「この世から争いがなかなかなくならないけれど、この絵のように大きく分けて赤人、黄色人、白人、黒人、この4色の人種が溶け合うことが、平和への近道だと考える。ミックス、ハーフと呼ばれる、その子供たちを僕たちの言葉では『レインボーチルドレン』と呼ぶんだ」と。

レインボーチルドレン? 

 はい。このレインボーチルドレンが重要なカギを握っているのですが、そのときの私は、まだ何も知りませんでした。ただ、その前年、2001年9月11 日に起こったアメリカ同時多発テロ事件のことが思い出されて、涙が止まりませんでした。世界中を恐怖に陥れたあの事件は、私の中でも大きな出来事として深く胸に残っており、世界が大きく変化しようとしていることを肌で感じていたからです。話はそれますが、私はあの事件は世界を恐怖に陥れることが目的だったのではないかと思っているんです。それくらい、実際に現場で巻き込まれた人たちだけでなく、多くの人の心に傷跡を残した歴史に残る事件でした。

 話を戻すと、泣いている私に気づいて何か感じたのか、ケネッチは力強くハグしてくれたんです。そのときでした。私の中で、固く閉ざされていた扉が開くような感覚があったんですよ。彼らの存在や哲学をずっと昔から知っていたような、忘れていたことを思い出したような、不思議な感覚に囚われました。

それは衝撃ですね。初めて行った場所で、初めて出会った人と気持ちがつながるというのは霊的ではありますが、そういうことは実際にあると思います。ところで、パフォーマンスツアーと言っていましたが、火菜子さんは踊りか何かやっていたのですか。

 はい。お芝居をやっていました。子供のころからの夢だったんです。ずっと舞台に憧れていて、大学に入ってもあきらめきれず、中退して芝居の世界に入りました。日本舞踊を習ったりダンスを習ったりと、毎日が楽しくて、どっぷり入りこんじゃいましたね(笑)。入りこみすぎて、パニック症になったこともあります。半年くらい、外出できませんでした。でも、いろいろな出会いもあり、舞台にも出させていただいて、私の人生を大きく変えてくれた芝居は、私のパートナーのようなものでした。

導かれて再びカナダへ。ネイティブ・インディアンのクリー族に迎え入れられる。

もう芝居は止めたのですか。

 はい。一度、止める決意を持ちました。たぶん、9・11のことやカナダに行ったことも、少なからず影響はあったと思います。2006年のことです。

 その決意の後、これからの人生をじっくり考えました。そのときに思ったのが、もう一度カナダへ行こう、ケネッチに会いに行こうということでした。そして07年、再びカナダへ行ったのです。最初にカナダへ行ってから、5年の月日が経っていました。

彼との交流は続いていたのですか。

 たまにメールでやりとりする程度ですけどね。彼のプライベートのことはほとんど知りませんでした。家族はいるのか、どこに住んでいるのかさえ知らなかった。ただ「会いにいかなければ」という思いに突き動かされて行ったんです。だから、彼からも言われました。「なんで来たの?」って(笑)。行くことは伝えてあったし、会う約束もしていたんですけどね。メールでも何度も「何かしたいことがあるのか」って聞かれていたのですが、私はただ彼にもう一度会いたかっただけだったんです。彼から聞いたネイティブ・インディアンの話が、ずっと心に残っていたんだと思います。

会いたいという気持ちだけで会いに行ったのですか。それはすごいですね。カナダへ行ってどうでしたか。

 結果、驚きの連続でしたね。ケネッチは私を図らずも彼らの居留地まで案内してくれました。そういうことはめったにないことで、日本人では私が初めてだそうです。それくらい、観光地化されていないネイティブ・インディアンの居留地に入るのは難しいみたいです。しかも、特別な儀式のときですからね。ケネッチも、最初はかなり用心していました。

特別な儀式というのは、どういうものなんですか。

 セレモニーはいくつかあって、そのときはかなり危険なセレモニーだと聞きました。そのセレモニーには参加できませんでしたが、その後、スウェットロッジというものに参加させていただきました。突然のことだったので驚きました。彼らは私が来たことを偶然ではない、意味があることだと言って、私を参加させてくれたようです。彼らが言うには、私は導かれて彼らの元に贈られてきたんだそうです。

そうなんですか。神秘的な話です。たしかに、出会いも起ることも、どんなことも偶然ではなく必然なんだと思います。

 そうですね。しかも、ケネッチの友人が私を夢で見ていたというんですよ。信じられますか。私がカナダ行きを決めるもっと前のことで、その友人は、セレモニーに参加している日本人女性を夢で見ていたんだそうです。それが、私の顔を見て私だったと。その友人だけじゃなく、セレモニーに参加していた数名が私のことを知っていたんだそうです。ほんとうにびっくりしました。

びっくりです。そんなことがあるんですね。

 そうでしょう? 私も最初は信じられませんでした。だけど、実際に彼らの居留地に行くと、彼らの話していることが嘘じゃないことがわかります。

名前に隠された意味。血脈の記憶。

ところで、火菜子さんの名前もちょっと変わっていますよね。名前に「火」がつくのは珍しいです。

 よく言われます(笑)。この名前は、祖父がつけてくれたんですよ。一目見れば覚えてもらえるという理由だけでつけたみたいです(笑)。でも、実はこの名前こそ、ケネッチが一番私に興味を持ったことだったんです。彼が言うには、「火(Fire)は命の源であり、愛の象徴、そして女性は内に火を持っている。菜(Flower)は母なる大地に育ち、男は女性を見つめるようにFlowerを愛で、女性に贈る。子(Child)はピュアでクリア、未来を表す」。つまり、女性の象徴のような名前をつけた祖父は、きっと何かを知っていたんだと言っていました。そして、私が日本に帰る前の晩、ケネッチは驚くことを言ったんです。

それはどんなことですか?

 彼は、すでに他界している私の祖父に、私が彼らの元を訪れた理由を聞いたと言っていました。祖父の答えは、私に大きな希望を託しているのだそうです。そして、近い将来、日本には大地震と津波が来るとのメッセージがあったと。それが2007年、東日本大震災が起る4年前のことです。

ということは、火菜子さんは4年前にはすでに、日本に大地震が起ることを知っていたということですか。

 そうなりますね。ただ、そのときは混乱するばかりでしたし、その後には自分にできることを必死に模索していました。実際に東日本大震災が起こったときに、あらためてケネッチが言っていたこと、祖父の願いを理解することができました。

北山耕平さんの『虹の戦士』に出会ったのは、その頃ですか。

 はい、そうです。あの本を読んで、これまでのことがすべて腑に落ちたような、つながったような気がしたんです。

 ケネッチは言っていました。「近い未来、地球は激変する。今地球上で起こっている地震や洪水、竜巻などの災害は序章にすぎず、菌の災害が起るかもしれない」と。これはすべて、自然破壊が原因なんだそうです。

 そしてこうも言っていました。「君のおじいちゃんもそのまたおじいちゃんも、君につながる先祖たちみんなが、君に目覚めてもらいたがっているんだ。だから、血に流れる記憶を取り戻しなさい」と。そのときは何のことを言っているのかわからなかったけれど、『虹の戦士』が答えを教えてくれました。

「地球が病んで、動物たちが姿を消し始めたまさにその時、皆を救うために、虹の戦士たちが現れる」。これは、この本に書かれてある重要なメッセージです。この言葉に触れたとき、「そうか、このことだったんだ」と目の前が開けました。

地球のこと、彼らのことを、私は伝えていかなくちゃいけない。伝えていく必要があると思ったのです。

とてもドラマティックな話で、頭が混乱しています。しかし、今や世界は大転換期を迎えていると言われています。ケネッチさんの言う地球の激変が間もなくやってくるとしたら、火菜子さんが託された使命や役割りはかなり大きいでしょう。

 そのようには思っていません(笑)。『ギフト』という言葉を彼らはよく使いますが、一人一人が持つ個性的な才能や機会や縁を活かし合うことが大切なのだと教えてくれます。なので、私は私のギフトを精一杯活かしたいと思っています。それに、実を言うと、世界はすでに変わり始めていると感じています。

というと?

 東日本大震災はやはり大きなきかっけだったと思います。私の友人の多くも生き方を変える選択をしました。また、みなさんもご存知のように、日本だけでなく、世界中の人たちがあの惨事に注目し、手を差し伸べてくれていました。あれこそが、ネイティブ・アメリカンたちの言う「赤人、黄色人、白人、黒人が再び一つになる時」だったのだと思うのです。ケネッチ達もすぐにセレモニーをして祈りを送ってくれたのです。

「4色の人種が溶け合うことが、平和への近道」という話ですね。

 そうです。一つの機会だったと思います。その機会を私達が活かしきれているのかどうかは未来で確信できるのだと思います。7年が経つ今も変化のプロセスの中にあると思います。だからこそ今、そのことも伝えていく必要があるのです。地球の激変を前に、私たちはもう一度、手を取り合わなければいけないのだと。

なるほど、それは大きなテーマですね。では、これからの活動の抱負を教えてください。

 かなりオカルトチックに聞こえるかもしれない話ですから、不信感を抱く人もいるかもしれません。でも、それを承知で、私は今の活動をやっています。ネイティブ・インディアンたちや遠い祖先たちから託された思いをお伝えする。その一つのツールになることが、ご縁をもらった私の役目なのだと感じています。これからも私は、彼らから受け取ったメッセージを北山さんの『虹の戦士』の物語に乗せて語り伝えていきます。そして、一人でも多くの人が共感してくださり、彼らの意思を受け、ご自身のギフトを活かすことに繋いでくれることを願っています。

 

BLOG http://firena.jugem.jp

『虹の戦士』 http://chottoshita.main.jp/rainbow

 

坂口さんのカナダでの体験は、2007年にまとめられた旅日記の冊子に詳しく書かれています。

ご興味のある方は坂口さんに直接お問い合わせください。

03-3920-0109

cafe@patieco.com

(ちょっとしたCAF)

 

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