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No.18

いにしえからみらいへ
ふたつの美術館を訪ねて

Contents

 人間って、底なし沼のようで、不可解だね。
 もし、動物たちが喋ることができたら、きとそう言うにちがいない。地球上に生息する多くの動物についての研究は進められているのに、当の人間は自分たちのことをわかっていない。だからこそ、芸術家や学者や宗教家が存在するのだろうが、古来から現在まで、彼らの労苦はなにひとつ「人間らしさ」たる本質を解明していないと思われる。
 人間の不可解な行動のひとつに、美術館があげられる。私だけがそう思っているのかもしれんばいが、美術館が不思議なところだ。洋の東西を問わず、いたるところに作られているところを見ると、その動機は本能に依拠していると思われる。そこには、おびただしい数の〈だれかによって創られたもの〉が収蔵され、維持・管理するために膨大な費用が払われ、多くの人がそれらを見るためにわざわざ訪れる。
 なぜなのだろう。なにを求めて、われわれは美術館を訪れるのだろう。生活のためでは、なさそうだ。見栄でもないだろうし、義理で行くわけでもないだろう。
 
 DNAから祖先をたどると、わずか六人の女性に行き着くという説がある。その真偽はともかくとして、美術館を訪れ、さまざまな作品に出会うとき、まだ会ったこともない作家に妙なシンパシーを感じることがある。
「そうだよなあ、こんなものを表現してみたかったよなあ」
「わかるわかる。こんな気持ちになるときってあるよね」
 同じ系譜をもつ者としての共感が、そこにはある。
 人類はわずか六人の女性から生まれたということを確認するために人は美術館を足を運ぶと言ったら、誇大妄想だろうか。
 
 なにはともあれ、栃木県にあまたある美術館の内、今回は希有な特色をもつふたつの美術館をご紹介する。
 あなたも、同胞に会いに行ってはいかがだろうか。

●企画・構成・取材・文・制作/五十嵐 幸子・都竹 富美枝
●写真/渡辺 幸宏

 

● fooga No.18 【フーガ 2003年 7月号】

●A4 約90ページ 一部カラー刷り
●定価/500円(税込)
●月刊
●2003年6月25日発行

 

おかげさまをもちまして、完売いたしました

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